8つの学域

東アジア研究学域

東アジア研究学域

EAST ASIAN STUDIES PROGRAM

東アジアの過去・現在を学び、
東アジアの未来を創る

今や日々の生活の中で中国・台湾あるいは韓国から来た人々と出会わない日はありません。このような状況は、日本社会が既に東アジアと不可分の社会となっていることを示しています。これは、最近に始まったことではなく、日本は古代から常に東アジアの中の一国として自国の文化を発展させてきました。そのような日本に住む私たちは、日本のことだけでなく東アジアのことも同じように深く学ぶ必要があるのではないでしょうか。
東アジア研究学域では、中国・朝鮮半島を中心とする東アジアの諸言語、古代から現代までの歴史・文学・思想・文化などを幅広く学ぶことを通して東アジアの今を見つめ、東アジアのより良い未来を創造する人材を育成することを目指しています。

COLUMN

教育・研究の“リアル”を発信、教員コラム

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日常に深く根をおろす信仰心。 宗教が分かると、アジアが見える。

皆さんは、心配事や不安があると自然に手を合わせたり、心の中で願い事をしたりしませんか。自分を超越した存在に対する信仰心は、時に人の心を癒し、支え、強くもしてくれます。特に海外に目を向けると、日本では想像もできないほど、宗教が日常生活に深く根付いている国が数多くあります。

私は、そんな宗教を客観的にとらえ、東アジアの国々の社会や文化、さらには政治や経済とどう結びついているのか探る研究をしています。その国でどんな宗教が生まれ、どのように発展を遂げたのか。また現在の社会で宗教がどう位置付けられ、人々の生活とどう結びついているのか。宗教について理解を深めることは、その国の成り立ちや伝統、さらには現在の社会や文化のあり方をより深く知ることでもあります。

私が特に関心を寄せているのは、近現代における韓国・朝鮮の宗教です。500年あまり続いた朝鮮王朝(1392~1910)の時代は、儒教(朱子学)が社会に浸透し、絶対的な世界観として受け入れられていました。しかし、19世紀末の開港によって、欧米からキリスト教が本格的に流入し、また近代化の過程で「政教分離」の考え方が定着していきました。こうして、儒教的な価値観は相対化されていきます。しかし、1905年に日本の保護国となり、さらに1910年に日本の植民地支配が始まると、天道教(東学の後身)や檀君教(後に大倧教)などの新宗教が登場し、民族独立を勝ち取りたいと願う人びとの心の拠り所となりました。このように朝鮮近代の歴史において、宗教は重要な役割を担っていました。

研究で扱うのは、過去のテーマばかりではありません。韓国での留学体験を生かし、現地でのフィールドワークを行いながら、現代韓国の宗教についても研究を進めています。皆さんは知っていますか? 韓国は、いまやクリスチャンが国民の3分の1を占めるキリスト教国であることを。ソウルの街を歩くと、1万人を超える規模の大型プロテスタント教会がいたる所にあります。また、グローバル化による消費文化が発展する中で、ヒーリング(癒し)や占い(タロットカードなど)が人気を集め、ウェルビーングやヨガブームといった新種の宗教運動も広がっています。日本では想像もできないほど、宗教が日常生活にとけ込んだ韓国。研究は、新たな発見と驚きの連続です。

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汝矣島(ヨイド)純福音教会(信徒数56万人、韓国最大のキリスト教会)の日曜礼拝

佐々 充昭

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