修了生の声

Zhang Yafei(張 亜菲)さん 現代東アジア言語・文化学

Zhang Yafei(張 亜菲)さん

前期課程研究一貫コース2016年修了
Screen Electronics (Shanghai) Co.Ltd.Beijing 勤務

社会やメディアの情報を鵜呑みにせず、
自分で考える力を身につけられた

日本の本社と中国の顧客。両者の間でバランスを取りながらベストを提示する

大学院在学中に日本で就職活動をして、日本企業に就職。その後転職した現在の勤務先は本社が京都にある半導体製造装置のメーカーです。製品はすべて顧客に合わせてカスタマイズした1点もの。私は営業担当者として、技術部門と一緒に顧客の要望する仕様を確認し、日本の工場で製造を行っています。納品後に不具合が起こった場合は、技術部門と一緒に解決に乗り出すこともあります。本社とは毎日会議や報告で本社と連絡をとっているので日本語は欠かせません。

日本の本社は決まったことを一つひとつ積み上げていく文化。一方、中国の顧客は仕様の変更にもためらいがありません。両者の間に立ち、バランスを取りながら予算内に納められるようにするのがこの仕事の大変さであり、面白さでもあります。どちらかの言いなりになるのではなく、自分なりに考えたベストを提示することを心がけて日々仕事をしています。二つの国の文化や社会の違いを理解し、対応するのは、大学院での研究と同じだと感じています。

現在の勤務先で、中国最大規模の半導体業界展示会Semicon Chinaに出展

現在の勤務先で、中国最大規模の半導体業界展示会Semicon Chinaに出展

ジェンダーの視点からBL小説の研究をし、男女関係に対する期待はは国によって違うことが分かりました

中国で日本のアニメや小説に触れ、人間の気持ちの繊細な部分が多く描写されている点に興味を持ち、日本ってどんな国なんだろうと思ったのが日本語を勉強するきっかけでした。大学院に進学したのは、日本にはBL小説というジャンルがあることを知り、それを研究してみたいと思ったからです。立命館の東アジア専修には、文学だけでなく、文化、歴史、言語などさまざまな分野の先生がおられ、さまざまな方向から文化を研究できると聞いて魅力を感じました。

研究ではBL小説をジェンダーの視点で分析しました。あるテーマの小説の内容を、日中英の3ヵ国で比較したものです。BL小説は男性同士の恋愛を描いたものですが、男性的キャラクターと女性的キャラクターがいて、そこには各国社会における男女関係も投影されています。日本では男性キャラクターがやや強め、中国では対等、イギリスでは女性的キャラクターも主導権を握る。国の文化によって表現の仕方も変わるのです。

大学院時代に富士山に登った時の様子

大学院時代に富士山に登った時の様子

自分で考えて出した結論なら納得できるし、あせる必要もない

社会やメディアや人の言葉を鵜呑みにしないで、疑いを持ち、自分なりの結論を出す。私は大学院でこの力を身につけることができました。この力はもちろん仕事にも役立っていますし、生活の基盤にもなっています。例えば中国では今「いい生活」の定義ができています。ブランドバッグ、化粧品、30代までに結婚し出産する…でも私は、自分が何に価値を置くのか、どのような生活をしたいのかを自分で考えているので、それに影響されることはありません。さまざまな人と交流し、その人の経験と自分の経験を重ねて考え、結論を出す。自分で出した結論なら納得できますし、むやみにあせる必要もなくなりました。

2016年前期卒業式。文系院生の総代として卒業できました。学生時代の良い締めくくりとなりました

2016年前期卒業式。文系院生の総代として卒業できました。学生時代の良い締めくくりとなりました

大学院時代に京都で2年間過ごし、心が穏やかになったと感じています。よく散歩をしていました。一番好きだったのは鴨川。階段状に連なる小さな滝の水音を聴いていると、とても心地よく、気持ちも落ち着きました。ジョギングをする人も多かったので、私もするようになり、今も続けています。健康で楽しく生きていける大人を目指しているので、来年はサイクリングにも挑戦するつもりです。

一覧へ戻る