RENKEI プログラム公開講座1 平野啓一郎氏「私とは何か-『個人』から『分人』へ」開催

9月15日(木)、RENKEI プログラム公開講座1 平野啓一郎氏「私とは何か-『個人』から『分人』へ」開催

講演する平野啓一郎氏

 

 

 2016年9月15日(木)、創思館1階カンファレンスルームにて”RENKEI PAX SCHOOL 2016:ENSLAVING THE MIND”の公開講演会が開催されました。講師は芥川賞作家平野啓一郎氏、講演テーマは著作のタイトルでもある“What is “I”? ~Individual or “Dividual”です。会場は、RENKEI参加者のみならず、ANU(オーストラリア国立大学)の学生12名、教員も含めて海外の大学の教室のような雰囲気の中、約70名が参加し講演会が開催されました。

  平野氏は、individualとはこれ以上分けられない=「個人」、に対してdividual=「分人」という新たな概念を通して、私とは何かという根源的な問いかけについてとりあげています。自身幼い頃父を亡くしたことで、死が突然訪れるものだということを認識、高校時代は三島由紀夫の金閣寺の主人公に共感したこと。氏の生まれ育った時代(1980年代~90年代)というのは、個性的であれ、自分らしい職業を選択せよという風潮がかえって閉塞感を生み、社会に居場所がないと感ずる人々を生む結果となり、日本人の自己肯定感の低さ、自殺率の高さ、引きこもりなどとして今日現れています。「個人」の概念は19世紀の欧州とその文化に起源を持ちますが、ルソーのマスク、鴎外(医者、小説家、官吏)、漱石(東京と田舎)のようにキャラクターを使い分ける、つまりアイデンティティを分ける例はあります。

 新たなアイデンティティモデルは、すべての個性は「分人」であり、互いに影響し合い、他者を通して自己を肯定するなど変化させ、「分人」の構成をコントロールすること、他者の「分人」も尊重することである、としています。

 講演後、突然の死について、三島由紀夫と葉隠について、個人と分人の関係について、など多くの参加者から次々と質問が出され予定時間を超過しましたが、平野氏は一人一人に丁寧な受け答えをされていました。終了後は、著書の販売と平野氏のサイン会も開催され、多くの参加者が並ぶ盛況ぶりでした。

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聴講する参加者   質疑応答の様子

▲聴講する参加者

 

▲質疑応答の様子

 


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