立命館土曜講座(第3175回)を開催しました!!

土曜講座「世界は今―紛争から和解へ、対立から共生へ」第二弾(8月27日)開催

 

講座を行うクロス京子准教授

 

 今回の土曜講座は、「紛争後の正義と和解をめぐる相克―痛ましい過去を乗り越える多様な試み」と題して、本学国際関係学部のクロス京子准教授より講演がありました。
5月に訪広する前にオバマ大統領はマスコミに対して、「和解」のための訪問ということを強調していましたが、「和解」の意味するところは何か、誰と誰の和解なのか、和解とはどのような状態を指すのか、正義と和解との関係は、そして東ティモールでの「正義なくして和解なし」という言葉から講演が始まりました。
紛争終結方法や移行期正義の発達の歴史をたどり、そこに「移行期正義のジレンマ」があること、つまり紛争終結直後の状況下で、「正義」=「処罰」とした場合は政治の不安定を招く場合があり、一方「平和」=「不処罰」とした場合は犠牲者の人権軽視や法の支配の否定が起こる状況を指します。しかし国際的な人権意識の高まりの中で国際人権法が発達し、「移行期正義」の対象、つまり冷戦後の「新しい戦争」が拡大していきます。そこで今日の「移行期正義」の課題としては、過去と未来の二つの方向への働きかけがされるようになり、三つの「正義」にもとづいて、法的なものだけでなく心理的、社会的和解も進められ、真実の追及や紛争の根本原因である貧困や差別、抑圧への働きかけや是正をしていくことが重要であるということが強調されていました。ただし、揺り戻しもあり、真実委員会が形骸化したり、抑圧した側が責任の追及を逃れている例も多く、依然として課題山積という現実があります。
会場を埋めた130名を超える参加者からは、講演後も、慰安婦問題、テロ、南アフリカ、日中関係などの問題の所在について次々と質問が出されて、講師の先生から丁寧な説明がされていました。


講演に熱心に聞き入る参加者

▲講演に熱心に聞き入る参加者

 


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