留学体験記1 アメリカ テキサス州 Woodlands High School 2022年8月~2023年6月
私はアメリカ・テキサス州のザ・ウッドランズという場所で10ヶ月間の留学をしました。昔から、いつかは留学に行きたいという思いを漠然と持っていました。そんな時に学校から募集されていたプログラムに出会い、正直、はじめは自分は今留学に行くべきなのかと迷いました。でも、ある先生からいつも言われていた「迷ったらやる!」という言葉を思い出し、挑戦しました。
ザ・ウッドランズはとても治安が良く、自然も豊かで、リラックスした環境で毎日を過ごすことができました。平日は学校で勉強し、休日は友達と近くのモールに遊びに行ったり、家族とショッピングやミニ旅行に行ったりととても充実した生活でした。でも全てが楽しく、うまく進んでいったわけではありません。特にはじめはたくさんの挑戦的な壁にぶつかりました。
私はアメリカに着いた次の日からもう学校に行き始めたので、時差ボケも気にしていられないくらいの感じで学校生活がスタートしました。留学前は、私はとてもおしゃべりな性格だったので友達作りに関して心配していなかったのですが、いざ初授業が始まると、急にシャイになって先生以外の誰にも話すことができませんでした。「これが私なの?」と、戸惑いました。それから、言語の壁にもぶつかりました。自分の想像していた学校生活とは全く違う現状がその時はあって、「私はこんなこともできないのか」とどんどん自信を失っていったことを良く覚えています。でも何を言っても、一歩ずつ前に進んでいかなければ、アクションを起こさなければ、何も変わらないことはわかっていたので、周りに少しずつ声をかけて自分を知ってもらうようにしました。それを続けているうちに、気づけば周りにはいつでも相談に乗ってくれる素敵な友達ができていました。これがきっかけで、例えばさらに派生して友達ができたり、その出会いからボランティア活動に参加したりして、もっと剌激的で充実した毎日を送ることができました。
留学を終えた今、良かったと思うことについて2つ書きたいと思います。まず1つ目は当たり前がぶち壊れることです。家族がいる、友達がいる、言葉が通じる、そして、文化的な当たり前、という今までごく普通に感じていたことがない新しい環境に入った時、新たな自分の側面を見ることができるのではないかと思います。私の場合は、自分は意外とシャイな人だったと気づきました。それと同時に、シャイだけど少しずつ乗り越えるポテンシャルがあることにも気づくことができました。自分を広い視点から正しく理解することで、次のステップに行くための正しい一歩を踏み出せるようになるのではないかと思います。
2つ目に新たな出会いに溢れていることです。留学では新たな出会いしかありません。その中で様々な価値観や人間性を持っている人に会うと、どんどん自分の中の選択肢を増やすことができると思います。私にとって最も大きな出会いはホストファミリーでした。私自身や私の両親とは全く違った場所・方法で生きてきた人と共に生活をして深くお互いを知っていく中で、こんな生き方もあるのか!こんな考え方もあるのか!という気づきに溢れていた10ヶ月間。無意識に感じていた可能性のリミットを広げてくれました。精神面、勉強面、語学面のサポートをしてくれたり、たくさんの新たな経験をもたらしてくれたり、そして何より本当の家族のようにいつも温かい愛を注いでくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。日本に帰ってきて、次にホストファミリーや友達に会えるのがいつになるのかはわかりません。でもそのいつかの時、胸を張って、こんな成長をしたよ!と言えるように頑張ろうというポジティブな気持ちで今、毎日を過ごしています。
留学は新たな価値観や生き方に触れること、自分と向き合うこと、壁を乗り越えること、普段の生活ではなかなか得られない機会を提供してくれました。今私が得た考え方や知見を、これからの生活や将来の夢の達成に役立てていきたいと思っています。
留学体験記2 イギリス Hereford Cathedral School 2022年9月~2023年7月
高校入学直前の春休み、私はスマートフォンの設定言語を英語に変えました。ラップトップも、使うアプリも、ゲームのテキストすら一つ残さず、全てを英語に変えました。夕食はいつも家族で食卓を囲みバラエティ番組やドラマを見ていましたが、お願いして英語の動画や映画を流させてもらうようになりました。だんだん友達との共通の話題が減っていくのが、国内ニュースについていけないのが、思い出せない漢字が増えていくのがとても誇らしくて、SNSのフレンド欄をアルファベットの名前が埋め尽くしていること、国際情勢に目を光らせていること、知らない単語も発音を聞いて綴れるようになったことなどを謙遜に包みながら自慢していました。そうして過ごした一年と半年を後悔はしていません。しかし反省はしています。憧れたヨーロッパの冬、あまりに早く沈んだ夕陽の方角を恋しく見つめて、やっと気がつきました。あの頃の私の目線は海の向こう側だけを向いていて、自分が立っている大地を蔑ろにしていたのだ、と。
私の留学したHereford Cathedral Schoolでは、現地生だけではなく様々な国から来た人たちに出会えました。しかし、私のように一年間だけ留学する生徒は自分含めて二人だけで、ほとんどの人は短い期間の体験としてではなく実際にA LevelsやGCSEなどの公的試験を受け、将来に使うために学校に何年も通っていました。日本を出発するときは「どうして一年も行くの?」とよく聞かれましたが、逆にイギリスで出会った人たちには「どうして一年しかいないの?」と不思議がられることが多くありました。この事実に初めて気がついたとき、私は『やはり日本では教育の選択肢としての海外への視野が狭いんだ』と勝手に結論づけてしまいました。しかし、それが間違いだったことをすぐに悟ります。
学校には香港からの留学生がたくさんいました。私もそのうちの何人ともと打ち解けて、『なぜ英国に来たのか』というような話をしました。私は言語や文化を学ぶため、と答えましたが、香港人の学生たちは口を揃えて「それ以外になかったから」と言いました。香港には大学がとても少なく、人口が多いために受験戦争は熾烈を極めます。その上に政治的な混乱もあるため、彼らにとって留学とは目標のためのチャレンジではなく将来を安定させるための方策なのです。私はそれを知って、自分をとても恥ずかしく思いました。あんなにたくさんに国際ニュースを見て、グローバルな情勢を学んで頭ではわかっていたのに、日本という国がどれだけ恵まれているのかを心から理解できていなかったのは、自身の傲慢と無知が原因であるとしか言わざるをえません。国内にとても多くの大学があり、海外の大学に進学することも可能ではあるがそれは当人の選択次第であり、大多数の人は学習に優位な第一言語で学問をすることを選べ、中学生のうちから親元を離れて違う国で、違う言語を使って勉強することが半ば強制されることはほとんどない。そんな自由さをあまつさえ視野の狭さだとさえ考えてしまった自分の方こそ、海の外のみを見つめる狭い視界に囚われていたのです。何よりも幼稚だったのは、その『海外に行き日本語以外で勉強をする方が偉い』という価値観が、『だから今留学をしている自分は偉いのだ』という自尊心に起因するものだったことでしょう。
留学前は、日本語を目に入れないように、頭から追い出すようにして生活していました。いつか他の国に移住して、日本語をすっかり忘れてしまうのが夢でした。しかし、目線の先にあった海外に実際に出てみることで、日本のことも外から見つめて、改めて『出身国』という存在の大きさを知ることができました。これからは前だけではなく、横を見れば隣にいてくれる人たちが、下を向けば自分の土台となっている経験が、そして後ろを振り返ればいつもおかえりと迎えてくれる家があるのだということを心に刻み、本当の意味で広い視野を持った日本人の国際人として、世界に踏み出していきたいです。
留学体験記3 エストニア Tartu Kristjan Jaak Petersoni Gumnaasium 2022年8月~2023年6月
私はエストニアという国に留学しました。エストニアといっても、すぐにイメージできる人も少ないので、少しエストニアの魅力を紹介します。エストニアの首都はタリンで、バルト三国の一番北に位置し、総人口は京都にも満たない130万人の小さな国です。電子国家としても知られていて、第一言語はエストニア語です。エストニアの国民性は、とても内向的で、感情を表に出さず冷たくみられがちですが、仲良くなると家族の様に接してくれます。このように魅力たっぷりのエストニアですが、どうして留学に至り、エストニアを選んだのか、そして留学で何を学んだのかの三つについてお話しします。
まず、留学に至った経緯についてです。私が海外への興味を持ったのは、海外のテレビチャンネルや、Annieという映画がきっかけです。高校1年生時には、海外交流にたくさん参加し、より海外への憧れが高まりました。留学が願望から決心に変わったのは、1年生時に参加した次世代リーダー養成塾です。多種多様な高校生と社会の最前線で活躍する講師の方々が集まり、ディスカッションや海外交流、講義を聞きました。特に、講義では高校生の間に海外へ出ることの重要性を伝えてくださる講師の方が多く、背中を押され留学への決意を固めました。
では、なぜエストニアなのか。理由はとてもシンプルです。留学の準備を始めるのが遅く、その時募集していた数少ない選択肢の中で、唯一知らなかった国がエストニアでした。もっと知りたいという好奇心と1年の時担任だった先生の3ヶ国語目を学ぶことに価値があるという言葉に心を動かされ決めました。
実際留学の体験はというと、とてもしんとい事はたくさんありました。しかし、それ以上に楽しく、自分が変わったと思える自覚を持ちました。私が得た学びの一つ目はSelf Loveです。日本にいた時の自分は、毎日課題に追われ、自分自身について深く考える時間をとれていませんでした。そのため、留学が始まると物事が上手くいかず自信を失くし、そんな自分を責めていました。ある日、友達と話していた時、自分を卑下して他人と比べるようになったと言われました。その時私自身が私をいじめてることに気がつきました。人と自分の出来を比べ、自分の価値を決めていました。目標が高いだけに、自分に甘すぎるから厳しくしなければと自分を責めて、良いと思いしていたことが実は負の連鎖を引き起こす原因となっていました。そこに気づいたことで、私自身にまず優しくする大切さを学びました。
二つ目は、実際に体験することの重要性です。留学中に、7カ国へ訪れました。特に印象深かったのは、フィンランドとドイツです。フィンランドでは、世界各国から集まった留学生と赤裸々に話しました。また、初めてオーロラを見たのですが、宇宙を感じ、すごく不思議な感覚でした。日本とは全く違う景色で、自分は日本の京都にだけ属しているのではなく、世界市民だという気づきを得ました。この経験から自分で実際現地に行って、目で見て、聞いて、体験する重要性を自覚しました。ドイツでは、YFUのセミナーに参加しました。このセミナーでは、ヨーロッパに留学したYFUの学生とボランティア約400人が集まりました。メンタルヘルスをトピックに様々なアクティビティを行いました。毎日、レベルの高い英語やディベートの話の展開の速さに触れ、海外生の第三言語を話すレベルに驚きを隠せませんでした。世界には英語を話せるのは当たり前で、英語だけ喋れても世界には通用しないという現実を見せられたような気がしました。他にも話しきれないほどの思い出がありますが、私にとってこの留学はとても価値があったと自信を持って言えます。
最後に一言。「自分」の「ワクワクする」という気持ちに敏感になってください。どんな些細なことでもかまいません。「ワクワク」は、大きなパワーを生みます。自分の選択肢に間違いなんてありません。自分の「ワクワク」を信じて留学にも「挑戦」してみてください!