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課題研究PBLゼミ 奄美大島フィールドワーク

2024年04月08日 高校
「おはようございます。体操、間に合ったで」
「おはよう。今日は、バナナの苗の植え替えを手伝ってほしいなあ」
「いいですよ。朝ごはんおわったらすぐいきます」

奄美大島2日目の、朝6:30。生徒たちは集落の人達とこんな会話を繰り広げる。村の防災無線から流れるラジオに合わせて、シマの方々と、ラジオ体操をしました。

今回フィールドワークを行った崎原(さきばる)集落は、奄美空港から北東に10分ほど車を走らせたところにある、小さな地域コミュニティです。2024年3月14日~16日、課題研究PBLゼミの高校2年生12名で訪問してきました。

「マサル兄(にい)が、サトウキビの肥料やりを手伝ってくれる人を探してるって」
「あ、俺、行きたい!」
「俺も!」
「わたしも!」

シマでは人生の先輩方を、敬愛をこめて「お兄さん」「お姉さん」と呼びます。その日も、立命館の高校生たちは、兄さんの運転する軽トラで畑仕事に向かいました。奄美の大自然や、地域の方々からどんどん元気をもらって、いつにも増して生き生きしている高校生達の姿がありました。

 今回は事前学習から、PaKTcompany合同会社様の全面協力を得て、地域コミュニティに入って学ぶ『RBL(関係性型学習)』を体験しました。代表の松榮秀士さんは、「留学は海外だけではない」というビジョンのもと、『村・留学』という新たな教育プログラムを提供されています。地域課題(problem)から学ぶのではなく、地域の方々との関係性(Relation)から学ぶという全く新しいコンセプトの探究学習です。地域への愛着、地元の人との出会いや交流から始まる学びは、身近な誰かの役に立ちたいという、根源的にある生徒の主体性を優しく育みます。

 区長のスエオ兄(野崎末雄さん)は、獲ってきたエビを剝きながら、

 「50年前は、この辺もサトウキビ畑より、田んぼが多くて、海に網を仕掛けたら、20匹はこんなエビが取れた。でも今は、一日中仕掛けても2~3匹しか取れない。サトウキビの収穫が終わったら、海は真っ赤なるんだよ。畑の赤土が流れているんだね。でもきっと化学肥料なんかも流れている。大潮が来たら、海はまた元通りの色に戻るけど、それは海が流してくれて見えなくなっているだけ。きっと、まだ海に流れた赤土はどこかに残っているね。何が起こっているか、本当のところはわからないけど、海はいろんなことを教えてくれる。」

 スエオ兄の話を聞きながら、生徒は、生態系が循環を繰り返していること、人間の活動もその一部になっていることを、身近に感じました。

 公民館で、ようこ姉と奄美大島の伝統料理である「鶏飯(けいはん)」づくりのお手伝いをさせてもらいました。食についての探究テーマを研究している高校生は、海外で20年以上シェフをされていたカズさんにお話を聞きました。

 「京都に戻ったら、地域で炊き出しをやってみたいんです」
 「それなら、手順をまずしっかり考えるといいよ。何を作るかも大事だし、どれだけたくさんの人に提供できるかを考えて計画してごらん。きっとおもしろいものになるよ」

 今回の研修は、生徒たちが、日ごろから探究しているテーマを、いろんな人に聞いてもらうことも目的の一つでした。

 朝日が美しい、あやまる岬で、村・留学を現地で主催されている移住者のヒロさんと、ヨガをしました。シマの自然を全身で感じ、普段と全く違う暮らしを経験することは、高校生たちに、様々な視座を与えてくれました。現地に赴くことでしか得られない経験を通して、生徒たちは「地域とともに生きること」を深く考える機会となったと思います。

 「来年、自分たちで奄美に来たいと思います。僕らが植え替えたバナナが食べごろになっていると、スエオ兄が言っていたから」

 少し日焼けした笑顔を浮かべて、そう話してくれた生徒の姿が印象的でした。
             (報告 坊農 涼子)

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