【セミナー報告】ライスボールセミナーVol.3(鳥山純子准教授)

528日、本学衣笠キャンパス・創思館カンファレンスルームで開催されましたライスボールセミナーに、当研究所メンバーで国際関係学部所属の鳥山純子准教授が講師として登壇いたしました。

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文化人類学とジェンダー論を専門領域として精力的に研究活動を行っている鳥山准教授は、今回のセミナーにあたりムスリム女性のスカーフとそれをとりまく文化、宗教および政治的関連を取り上げ、講演を行いました。

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地理的および文化的な距離が比較的遠く、私たち日本人にとってその実態がつかみにくいムスリム女性のスカーフを巡る論争。西洋諸国では「女性抑圧」的な習慣というプロパガンダの下、反スカーフ法が立法レベルで広がっているそうです。しかしながらその一方で、中東地域において今回のテーマである女性のスカーフは必ずしも西洋諸国が認識している「抑圧の象徴」として存在している訳ではないようです。

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鳥山准教授は、この文化的概念の相違が西洋諸国で政治利用されている傾向を示唆し、ムスリム女性のスカーフを巡る論争の背後にある文化相対主義の功罪について詳細に説明。今回の講演テーマを通して「なんとなく知っているが良く知らない」という私たちの思い込みの殻を破り、物事の実態と実相を知ることこそが、世界を知る第一歩であるという力強いメッセージをオーディエンスに発信していました。

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満員の会場からは、「どのように実態と実相の理解を深めるきっかけをつかめばよいのか」という質問が投げかけられ「自分自身が興味を持ったことから取組み、ありきたりの情報で満足しないこと」と回答し、研究に欠かすことの出来ない自己に内在する違和感や問題意識の大切さを感じ取ることが出来ました。

(リポート作成者:事務局・西村)