誰もが介護する時代
しかし誰が主にうかは
国によって異なる

#027
政策科学部 教授大塚 陽子

 10年後、20年後の超高齢社会では、誰が介護の担い手となるのでしょうか? 現代では90歳代の親を抱えた子ども世代が高齢になり、介護負担がその孫やひ孫世代にも拡大しています。介護労働者はに不足しており、高齢者介護は、10代、20代の若者も含めたあらゆる世代にとって、正に「今」直面する課題です。日本では高齢者介護が家族の役割とみなされ、家庭内の女性が無償で担ってきました。他の国はどうでしょうか。

 福祉先進国として知られるデンマークでは、高齢者介護を担うのは看護・保健の知識をもつ「公務員」です。ただ、の公務員とはいえ、介護労働職のほとんどは女性です。そのデンマークでさえ、福祉政策にかけられる国家予算は減少しつつあり、介護専門職も削減される傾向にあります。人口の多い中国では、介護労働者の多くは、農村から出稼ぎに来た女性です。都市と農村の経済格差が激しい中国独自の現状です。

 日本では高齢者介護の役割は、女性だけでなく、働き盛りの男性にも降りかかってきています。ジェンダーの視点だけにとどまらず、多様な視点から高齢者介護の現実をとらえていく必要があります。

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