「ケアメン」という言葉が登場するほど男性介護者が認知されるようになり、介護者の3人に1人は男性です。男性介護者の存在が注目されたのは2005年に京都で介護していた息子が認知症の母を殺害したことがきっかけでした。
それまでは「介護は女性」という前提で調査が行われていましたが、この調査によって「料理が作れない」「洗剤の使い方が分からない」など男性介護者特有の課題が明らかになっていきました。加えて、仕事のように完璧を追求するあまり周りの人にSOSを出すことができず悩む人が多いことも分かりました。介護と仕事の両立は簡単ではなく、介護を理由に退職する人は年間10万人にのぼり、経済的な困窮に陥ったり、精神的に追い詰められることも多くあります。
しかし、日本の介護制度のほとんどは「介護をする人」ではなく「介護をしてもらう人」に向いています。高齢化と少子化によって、一人で複数を介護したり、子育てしながら介護を行う人も増えてきている中、この研究はますます重要性を増してきています。