高齢化問題、
タイと日本の共通点は?

#034
経済学部 教授黒川 清登

 高齢化は日本や欧米など先進国の課題だと考えられてきましたが、開発途上国でも農村部では高齢化が深刻な問題になりつつあります。そこで、タイ東北部の村と、日本の滋賀県の湖北地方を3年間にわたり比較する研究を行いました。

 タイでは「OTOP」と呼ばれる一村一品政策を政府が後押ししています。日本のような年金制度のないタイでは高齢者といえども働く必要があります。各家に織機を置いて、好きなときに働き、「マッドミー」という絹の織物や手作りの花飾りなどを販売して利益を得ています。集まることでレクリエーションを楽しみ、健康も増進するという効果もありました。何より、高齢者が自分の仕事に自信とやりがいを持って生き生きと働いているのは、理想の人生といえるでしょう。

 滋賀県では、長浜市の伝統的な建築物を中心に、年間200万人が訪れる観光地へと発展させ、地域経済の活性化に取り組みました。行政の補助に頼らず、住民主体で地域振興に成功した注目すべき例です。高齢化によって労働人口が減少し、年金制度の破たんがあやぶまれている日本では、これからは高齢者であっても長く働き続けられ、それが生きがいにもなるというのが理想の姿です。

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