「移民の国」アメリカの経験から、
日本型の多文化社会を展望する

#033
国際関係学部 教授南川 文里

 日本にはすでに200万人以上の外国人が住んでいます。それに加え、少子高齢化による労働力不足解決のため、年間20万人の「移民」の受け入れが必要だと言われています。日本の将来を考えたとき、「異なる国籍や文化を持った多様な人たちが共生・共存する多文化社会をいかにしてつくっていくか」が課題です。

 参考になるのが「移民の国」アメリカの多文化主義です。アメリカでは、人種差別の解消をめざした草の根の社会運動をきっかけに、マイノリティの視点からアメリカの歴史や文化を問いなおし、すべての人々に対等な機会を与えるためにアファーマティブ・アクション(AA)政策を導入しました。このようなアメリカの取り組みが、今後「移民」の拡大に直面する日本社会にとって、どのようなヒントを与えてくれるのでしょうか。

 たとえば、日本国内で長く差別とってきた在日コリアンの歴史は、最先端の「共生」の実践の歴史でもあります。これからの多文化社会日本の構想のためには、これまで日本が外国人や少数者をどのように扱ってきたかを問うことは不可欠です。アメリカの経験をもとに、平等社会日本の実現のための提案を続けています。

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