アジアの飲み水危機を救え

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理工学部 講師清水 聡行

 日本では、水道の蛇口をひねると安全できれいな水がいくらでも出てきます。しかし開発途上国では、簡単にきれいな水は飲めないのです。先進国の支援で浄水場などが整備されても、飲み水として使うことはできません。浄水場できれいな水が造られていなかったり、水を家庭に配るときに菌や汚れが混ざってしまうからです。また、年月が経つと設備のメンテナンスも必要ですが、それを行うためのお金も人材も開発途上国では十分でありません。一方で、近年では開発途上国でもボトル水を利用している人も多くなっています。そこで、飲み水以外では水道水を利用し、飲み水用にはボトル水を利用する「ハイブリッド給水システム」を考えました。公営の水道会社が安全できれいなボトル水を安く売り、そのお金で水道管などの修理を行うことで、住民は安く安全な飲み水を確保でき、水道設備も保つことができます。

 ただ設備を作ればいいだけではなく、安全な水を届けるためにはそれぞれの国に適した仕組みを考えることが大切です。今後、実現可能でアイデアに富んだ「小さな事業」が、飲み水危機を救う鍵となるでしょう。また、飲み水の水源の水質を守るための排水処理も大切です。

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