築き上げてきた生活や文化と共に
歴史都市を災害から守る

#008
理工学部 准教授金 度源[写真右]
理工学部 教授大窪 健之[写真左]

 歴史的建造物を地震や津波などの災害から守ることをテーマに研究してきたため、ネパールの災害危険性にいち早く気付き、2008年からパタンという世界遺産地区で防災研究をスタートさせていました。現地住民に対するワークショップや防災訓練などを行って、災害時の課題を洗い出し、その対策を書き込んだ「防災地図」を完成させました。地域住民に役立ててもらうために地図を配布しようとした矢先、2015年4月25日、ネパールでマグニチュード7.8の大地震が起こりました。

 建物は崩壊し、数多くの死者が出ました。このニュースを知った時には、地図の配布がもう一歩のところで間に合わなかったことに悔しい思いをしましたが、防災意識が確実に住民に根付いた結果がありました。それは、あれだけの大きな地震だったにもかかわらず、対象としていた地域からは一人の死者も出なかったことです。

 防災意識がかつてないほどに高まっている震災直後こそが次に備えるチャンスです。重要なのは、“Build Back Better(震災前よりも良い社会を目指す復興)”。今こそそのためのビジョンを示さなければならないと、二人は研究にまい進しています。

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