測位が難しい都市の地下空間で人を
安全に避難させる防災システム

#010
情報理工学部 教授西尾 信彦

 災害発生時に、地下空間で情報発信や避難誘導支援を可能にするシステムの構築に取組んでいます。GPS(全地球方位システム)が搭載されたスマートフォンの普及によって「自分が今どこにいるのか」を簡単に把握できるようになりました。しかし、問題は、GPSは屋内や地下では使えないということです。

 この研究では、3つの方法を組み合わせることで、GPSに頼らずに屋内で自分の位置を知る方法を実現しています。①スマートフォンに内蔵されているセンサを使う、②屋内施設に測位を助ける機器を設置する、③地下に設置されたWi-Fiの電波を受信し距離を測定する、ことです。

 また、この技術を活かして、災害時に施設管理者が非難誘導に活用するための業務向けアプリを開発しました。2015年には、大阪梅田周辺で複数の地下施設管理会社の防災センターを連携させた実証実験を行ない、2016年度より大阪駅・梅田駅周辺地区での浸水対策システムとして運用しています。近年ではゲリラ豪雨等による地下への浸水、地下鉄路線を通じた広範囲への被災が懸念されていますが、このシステムがあれば地下空間で安全な避難誘導を支援することができます。

 これらの防災システムが将来、日本の防災対策の要となるかもしれません。

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