心理学が解き明かす「おいしさの正体」

#065
食マネジメント学部 教授和田 有史

 「おいしさ」はなものです。食べる人によって甘いものも苦いものもおいしく感じられるし、状況によっても変わります。「おいしさ」を人間が物を食べた時に生じる「感情」として考え、その仕組みを研究しています。味に影響を与えるものの一つに匂いがあります。例えば、鼻をつまんでチョコレートを食べても「チョコレート」味を感じることはできません。また、見た目も食べ物の味に大きく影響します。フルーツや野菜が赤や緑色をしているためか、青色の食品は多くの人に「気持ち悪い」という印象を与えます。こうした例から、味覚はにおいや見た目など、さまざまな感覚と混ざり合って形作られていると分かります。

 それだけでなく、食べ物の「おいしさ」は文化や学習、「ブランド」によっても感じ方が異なるといいます。最近では、人によっては嫌いな食べ物の研究が行われています。例えばイナゴの(バッタの仲間を煮たもの)などは、食べたことがない人には「気持ち悪い」という印象を与えますが、食べたことがある人にはおいしそうな食べ物に見えます。こうした「気持ち悪い食べ物」がどのように「おいしい食べ物」へと変わるのかを調べています。

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