ビデオゲームの進化に
人間の感性の本質を探る

#051
先端総合学術研究科 講師吉田 寛

 ロボットはどこまで人と同じように感じ、考え、行動できるのでしょうか。そのような人工知能(AI)の課題を解くヒントは、ビデオゲームの中にあるかもしれません。そんな考えから、「感性学(人間の感覚やの働きを調べる学問)」からAI技術が進展されることを研究しています。プレイヤーの考えや判断、行動を通じたインタラクション(プレイヤーとキャラクターとの互いのやりとり)を明らかにするゲーム研究に注目しました。例えば、「スーパーマリオブラザーズ」のプレイヤーは、マリオを「人物」と「自分がする対象」という二つの意味で捉えています。この「知覚の二重化」により、キャラクターを通じて自分がゲームをプレイした感覚を得られるのです。

 また、1980年より前のビデオゲームは、人間の知覚の特性(など)を効果的に利用していて、そこに最新のコンピュータ技術やVRの進化のカギがあると考えることができます。例えば、コンピュータなどに組み込まれるスクロールとは、画面を上下左右に動かすことで運動の感覚を感じさせる技術です。同じ技術が1970年代のビデオゲームに使用されていました。人間の感じ方を理解し、それを活かした昔のビデオゲームの技術を読み解くことで、新しいAIを生み出すことができるかもしれません。

ボタンを押していろんな研究を見てみよう