與田 光宏

「いろいろな事に興味を持って外向的に取り組んでほしい」

與田 光宏

與田 光宏

理工系修了生インタビュー第4弾として、2002年3月に本学理工学研究科博士課程後期課程を修了された與田光宏 (よだみつひろ)さんにお話をうかがいました。

與田さんが本学理工学部機械工学科に入学されたのは1993年、衣笠キャンパスに理工学部があった最後の年です。翌年からびわこ・くさつキャンパス(BKC)に移りますが、当時のBKCは今のように建物も多くなく、南草津駅すらなかった時代です。

4回生になり、配属されたのはMEMS (メムス)(Micro Electro Mechanical Systems)を研究する小西聡先生の研究室。ちょうど研究室立ち上げのときで、部屋に机と椅子しかなかったそうです! 與田さんは飛行機の整備士を希望されていて、4回生で就職されるつもりだったそうです。しかし、研究室の立ち上げから経験できたこともあり、技術をもっと勉強しようという思いから大学院への進学へと進路を変更されます。

博士課程への進学を決められたのはM1の終わり頃。MEMSの研究が充実しており、もっと極めたいという思いからでした。與田さんは「商品開発を経験したかった」と企業へ就職を目指され、大学の教員になることは考えなかったそうです。

博士課程修了後に就職されたセイコーエプソン株式会社では、情報機器向けMEMSデバイスなど、主に要素技術開発に携わられます。仕事を通じて感じられた企業の研究開発者に大切なこととして、次の3点を挙げてくださいました。

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1.志と想い
   外野の声を気にせず、いかに集中して最後までやり遂げられるか!

2.考え方と進め方
   課題解決に向けて最善のルートを取れるように!

3.斬新なアイディア
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與田さんは「技術を極めて自分の軸を持つことが大切」とおっしゃいます。ある分野で一流になれれば、他の分野でも仕事がやりやすくなるそうです。その上で與田さんご自身は「スペシャリストより開発者でありたい」という思いで仕事に取り組んでこられました。「ドクターは興味や分野が非常に狭くなりますが、企業に入ると視野を広く持たなければならなくなります。『ドクターでは考え方やとらえ方を学んでいる』ということを知っておくとよいと思います。なんでも知っているつもりにせず、ゼロから考える姿勢が大切だと思います。」とコメントくださいました。

與田さんには今年7月、博士キャリアパス推進室主催のセミナー「立命館卒業生が語る『博士の強み』」の第1回ゲストとして本学にお越しいただきました。会場には博士課程の学生に加え、小西研の学生も大勢つめかけ、大変盛況な会となりました。

セミナーでは研究内容や学生時代の思い出、メッセージなどを丁寧にお話してくださいました。参加した学生たちにも非常によい刺激となったようです。

最後に與田さんから後輩たちへのメッセージをいただきました。

「今後、世の中の変化は激しくなり競争も激化すると思いますので、自分へも言えることなのですが、自らの専門分野だけでなくいろいろな事に興味を持って外向的に取り組んでもらえればと思います」

先輩から後輩へよき伝統が引き継がれ、今回参加した学生たちが與田さんのように卒業生として講演会に戻ってきてくれる日が楽しみになりました。
  • 2012年7月4日(水) 16:20~17:50 立命館大学 びわこ・くさつキャンパスにて
  • 聞き手・文:松村初

プロフィール

1993年4月 立命館大学理工学部機械工学科入学(衣笠キャンパス最後の学年)
2002年3月 立命館大学大学院 理工学研究科 総合理工学専攻 博士課程後期課程修了、博士(工学)
2002年4月 セイコーエプソン株式会社入社
2012年6月 セイコーエプソン株式会社退社
2012年8月 株式会社シマノ入社

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