
平成 17年度から2年間において、教科についての高い専門性に加え、実践的力量を持った教員として採用され、活躍するために必要である8科目を
「学校教育臨床研修プログラム」として 開講し、
16〜22単位を履修させます。本プログラムの科目群は教職課程で獲得される教員としての基礎的な知識と力量に加え、学校現場についてのより深い理解を促
すとともに、現場で必要とされる実践的力量を発展的に獲得させることを意図しています。そのため、免許状取得のための単位として認定するのではなく、
文学部専門科目の単位として認定します。
プログラムの特徴
1. 教育現場が直面する様々な問題を具体的題材として、複数の教育委員会によるリレー講義を実施する
2. 現職を含め、教員経験豊富な講師が講義、演習を担当する
3. 各科目において、附属校や地域の小中学校と連携し、学校現場の日常の実践の中から課題を発見し、そ
の課題の克服を可能とする授業案・プログラム案や教材の開発に取り組む |
特に3.については、現場教員より各演習テーマに即した課題の提供を受け、その課題を大学の演習において検討した上で、課題克服のための授業案等を開発
し、その授業案を学校現場で実践し、さらにその改善案を検討します。課題の提供を受けた現場教員、児童・生徒にも、定期的にアドバイスを受けながら演習を
展開し、最終案については複数の教員から評価を受け、さらに深めていくというように、現場(教員・児童・生徒)と演習(学生)とを往復する取り組みとして
実施していきます。その際、インターネットを利用した双方向の交流(テレビ会議方式)やメールによる交流もあわせて実施し、より一層の充実を図る予定で
す。また、その成果物であるモデル授業案、教材や汎用可能な実践例については、インターネットを通じて広く発信することで、教育改善の一助とすることを計
画しています。

本プログラムの開講科目と開講計画、科目概要は以下の通りである。
科目
名 |
単位数 |
配当回生 |
平成17年度 |
平成18年度 |
1. 学校教育研究 I |
2 |
2 |
○ |
○ |
2. 学校教育研究 II |
2 |
2 |
○ |
○ |
3. 教科指導演習(国語) |
各2 |
2〜3 |
○ |
○ |
4. 教科指導演習(社会) |
各2 |
2〜3 |
○ |
○ |
5. 教科指導演習(英語) |
各2 |
2〜3 |
○ |
○ |
6. 学級指導演習 |
2 |
2〜3 |
○ |
○ |
7. 学校インターンシップ |
2〜8 |
2〜3 |
○ |
○ |
8. 学校教育演習 |
4 |
3 |
- |
○ |
1.学校教育研究 I 【教育委員会連携講座】(他学部開放科目)
現代の教育をめぐる基本問題を取り上げ、具体的な事例の検討などを通して、学校現場の現状についての認識を深
めつつ、教職への意欲と実践的な力量を高めることを目指しています。本学と包括協定を締結している、大阪府、京都府、京都市及び神戸市の4教育委員会の協
力を得て、リレー方式で、学校現場の現状や課題について多角的、複眼的に検討し、より実践的な課題克服の方策を探ります。平成17年度のテーマと担当は以
下の通りです。なお、初回ならびにコーディネー ターは本学教員が担当しています。
日程 |
テーマ |
担当 |
4/13 |
これから求められる教師像 |
立命館大学 |
4/20 |
開かれた学校づくり |
大阪府立高校校長 |
4/27 |
社会の変化と子どもの変容 |
京都府教育委員会指導主事 |
5/11 |
特色ある教育の推進策 |
京都府教育委員会指導主事 |
5/18 |
教師の使命と役割 |
神戸市教育委員会指導主事 |
5/25 |
生徒指導の今日的課題 |
京都府教育委員会指導主事 |
6/1 |
人権教育をめぐる動向 |
大阪府教育委員会指導主事 |
6/8 |
障害児教育の実践とこれから |
大阪府教育委員会指導主事 |
6/15 |
教育相談の実践 |
大阪府立高校教諭 |
6/22 |
キャリア教育をどう進めるか |
神戸市教育委員会指導主事 |
6/29 |
学級経営の実践 |
京都市立中学校教頭 |
7/6 |
実践的な授業設計論 |
神戸市教育委員会指導主事 |
7/13 |
教職員の資質向上と研修 |
京都府教育委員会指導主事 |
7/20 |
これからの学校評価 |
大阪府教育委員会指導主事 |
2.学校教育研究 II
「学校教育研究T」において学習した今日の学校教育に関わる諸問題の中から、特に関心あるテーマを設定し、教育事象と課題を実践的か
つ総合的に洞察する力量を形成することを目指します。テーマ別にグループを編成し、調査研究した結果を発表し討論することにより、主体的に教育問題に取り
組む姿勢を身につけさせます。これにより、教育方針を立案し実行する姿勢や力量を持ち、特色ある教育活動を展開する教員の養成につなげることができます。
3.教科指導演習(国語) 4.教科指導演習(社会) 5.教科指導演習(英語)
教職科目における教科教育法を踏まえ、教科別により深い理解を促すとともに、教科の本質論にとどまらない、学校現場の実情や生徒の実
態に応じた、多様な授業を構成できる力量の形成を目指します。そのために、多くの授業実践(記録)を素材として、実践の背後に隠された教科論、授業構成
論、評価論などを抽出・検討することで、授業構成法の理解を深めるとともに、よりよい授業とするための改善案を作成します。そこでは、中学校の授業を中心
に検討を進めるますが、中学校の授業の内容充実のためには、小学校との連続性も重要な視点であるため、義務教育全体を視野に入れた演習を展開します。同時
に、現場教員から提供を受けた課題についての検討を進め、モデル授業案の開発を進めていく予定です。
6.学級指導演習
現場教員から提供を受けた様々な学年段階での学級指導に関する具体的な実践事例を教材とします。これに対する指導内容や方法を抽出・
分析することを通して、学級指導についての理解を深めつつ、主体的に、実践的な改善策等を提起できる力量の形成を目指します。
7.学校インターンシップ
小学校、中学校、高等学校等の学校現場において、40時間以上の実務研修を行います。事前研修(7コマ)においては自らの研修目的や
課題を明確にさせ、事後研修(3コマ)では、自己の体験を相対化し、教職への意欲を向上させ、力量をもった教員となるための自らの課題の発見や、現在の学
校教育の抱える問題の本質を追及します。
8.学校教育演習
1から7までの科目と関連付けながら、学校を取り巻く問題(地球環境、異文化理解、社会への男女共同参画等を含めて)について、総合
的に研究を深め、解決方法を探求します。演習を通じて、学校教育の現状についての深い理解を促すとともに、テーマ発見力、文書作成力、プレゼンテーション
能力やコミュニケーション能力の向上を目指します。