
本学、特に文学部では、学部、専攻の専門性を生かしながら教職を志望する学生が多く、これまでも正課・正課外の両面から各種の取り組みを行い、支援してきました。しかし、学校現場では様々な問題が起こり、児童・生徒も大きく変化している時代においては、これまでの取り組みだけでは十分とはいえません。そのため、学生時代から学校現場で起きている問題に対する認識を深め、それに対応できる能力を身につけさせることを目的に、本プロジェクトを実施します。


文学部では、学生が教員の先進的な研究の成果を吸収しつつ、人文科学の全体像を見据えながらそれぞれの専攻領域の知識と探求の技法を修得し、加えて必要な外国語能力を身につけることを目標としています。また、教員養成の観点から見ても、 中学校、高等学校における主要教科と密接に関わる内容について、人文科学全般にわたって学び、かつ、心理や教育系の科目について専門的に学習し、力量を高めることができます。
このような専門性を備えた卒業生の輩出は、他の学部や教員養成系大学ではなし得ない大きな特徴です。加えて、学校インターンシップや学校ボランティアへの参加により、現場における実践力、臨床研修を積んでいます。しかし、「現場の状況を踏まえた力量ある人材の養成」のために、これまでとは別の取り組みが求められてきています。
「現在の教育現場で必要とされている実践的力量の育成」を目的とする 本プロジェクトは、今日の教育の背景となっている事象について、人文科学の視点から総合的、専門的に学び、かつ、教育現場と密接した科目の受講や各種取り組みを行うことから、「現場で直ちに活躍できる能力」をもつ学生を育てることができます。また、この能力は特色ある教育活動を展開する際においても、力を発揮するものです。


本プロジェクトは実践的力量の育成に重点をおいているため、授業科目は1科目を除き全て演習や演習に準ずる科目です。
この演習においては現場教員からの課題提起を受けて実践的な検討を行い、それを学校現場にフィードバックする中で、主体的かつ科学的に教育方針を立案する姿勢が養われます。また、現場教員や児童・生徒との交流や授業以外の取り組みにおいて実践的な研修を積むことにより、教員としての専門性や実践的指導力の向上を図ることができます。さらに、その体験を演習における討議で理論的に深めていくことも可能です。
他方で現場教員にとっても、本プロジェクトにおいては日常的に学生への指導や学生との議論を行うこととなり、自分自身の授業運営や指導における検証や高度化に役立てることができます。加えて、メーリングリストを使った意見交換を通じ、授業方法や学級経営等について、自己研修を行うことができます。また、学校現場にとっても、これらの取り組みを通して、学校教育の検証や活性化につなげることが可能と言えます。