立命館大学 デザイン・アート学部
立命館大学大学院 デザイン・アート学研究科

(Faculty)

松葉 涼子 Ryoko Matsuba

教授

■ 専門分野:美術・工芸・造形文化 ■ 研究テーマ: ・近世から近代にかけての出版文化史 ・フォーマットと視覚表現 ・伝統木版画の材料・道具の研究

学歴:
  • 2002年3月 立命館大学 文学部 日本文学科 卒業 学士
  • 2005年3月 立命館大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了 修士(文学)
  • 2008年3月 立命館大学大学院 文学研究科 博士後期課程修了 博士(文学)

職歴:
  • 2008年4月〜2009年3月 日本学術振興会特別研究員(PD)  
  • 2009年4月〜2011年3月 立命館大学衣笠総合研究機構ボスドク研究員
  • 2010年8月~2011年3月  大英博物館 研究員
  • 2011年4月~2013年12月 日本学術振興会特別研究員(PD)
  • 2011年5月~2011年8月 米国スミソニアン機構フィリア―アンドサックラー美術館(現国立アジア美術館)研究員
  • 2014年1月~2016年3月 立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員
  • 2012年11月~現在 大英博物館客員研究員
  • 2016年4月~2019年3月 ロンドン大学SOASリサーチフェロー
  • 2019年4月~2021年4月 英国セインズベリ―日本藝術研究所シニアデジタルヒューマニティースオフィサー
  • 2021年4月~2025年3月 英国セインズベリー日本藝術研究所 デジタル人文学講師
  • 2021年4月~現在 お茶の水女子大学コンピテンシー育成開発研究所 比較日本学教育研究部門客員研究員
  • 2025年4月~現在 立命館大学文学部教授

これまでの実績・研究概要

1998年に立命館大学へ入学し、立命館大学アート・リサーチセンターの創設期からプロジェクトに参加しました。学部時代には浮世絵や歌舞伎番付を撮影するアルバイトを通じて、視覚表現と身体表現の関係に興味を持ちました。博士課程修了後は大英博物館など海外機関で所蔵品のデジタル・アーカイブ化と展覧会企画に携わりました。現在は出版文化と視覚表現の研究を進める一方、伝統木版画の材料や技術の解明にも取り組んでいますが、博物館勤務の中で、多くの実物資料を扱う機会を得ることができたことが今の研究課題につながっていると思います。

研究の方向性

伝統工芸は、単独の技能で完結するものではなく、過去と現在の多様な文化・技術と密接につながっています。たとえば、江戸時代に葛飾北斎が著した肉筆絵画の指南書『絵本彩色通』を読むと、北斎以前に発達した染織技法と絵具の扱い方に共通点があることが分かります。私の専門は木版画ですが、原料・技法・道具を調べると、ほかの工芸やマンガなど現代の出版文化とも多くの共通点が見つかります。今後はデザイン・アート学部で、こうしたつながりを学術的に可視化する研究と教育活動を進めたいと考えています。

メッセージ

私はもともと日本文学を専攻し、文学研究を志していました。しかし、資料撮影や展覧会、研究プロジェクトに携わるうちに視野が広がり、研究分野が変化しました。デザイン・アートは何を学ぶのか一見分かりにくい学部・研究科かもしれません。むしろ、「何を学ぶべきか」と最初から決めつけるのではなく、さまざまな専門性に触れ、一見無関係な領域同士を自ら結び付ける――自分の目標や学び方を柔軟に変えられる学部だと言えます。明確なプランがある人も、まだ模索中の人も、学びや変化を望むすべての学生を応援します。