2010年11月27日 (第2960回)

ノルウェーにみる男女均等政策について

立命館大学産業社会学部 特別任用教授 中川 順子

 日本では、出生率の低下が止まらず、遂に人口減少社会となりました。一方、北欧、とりわけノルウェーでは、1990年代から、働く女性の増加に比例して出生率も上昇してきました。 条件さえあれば「仕事と子育ての両立」は十分可能になることが実証されたのです。ノルウェーでの、こうした「両立」のための法制度の整備や底上げは、女性たち自身の積極的な働きによるところが大きいようです。 国会や地方議会に進出し、閣僚の4割を占め、オンブドの活用などで問題を吸い上げ、法制度の見直しに次ぐ見直しによって実現されてきたといえるでしょう。 最近では、上場企業の役員会の40%を女性に割り当てるに至っています。こうして「世界で一番女性の地位の高い国」ノルウェーをつくってきたのでしょう。 しかし、「パラダイス」になったわけではなく、性別での職域の固定化や賃金格差など、まだまだ課題は残っているようです。

聴講者の感想

 今月のテーマ“北欧の国々から学ぶ”は日ごろ余り関心のない国の実情を知ることができて大変勉強になりました。福祉・環境・教育男女均等政策について、それぞれの国の状況が、 よく分かりました。日本の現状はどうかと常に対比しながら聞いていましたが、日本との落差の余りの大きさにがくぜんとしました。日本は経済的に発展しているのに、この差はどこからくるのか。 国民一人・ひとりが日本の社会のいびつさに気がつくことがまず必要だと感じました。そのためにこういうテーマの講座は大変有用だと思います。 もちろん“北欧はパラダイス”ではないかも知れません。日本のおかれている実態を、他国を鏡にしてよく知る機会となりました。ありがとうございました。