2014年5月3日 (第3092回)

憲法入門-最高裁判決の「読み方」

立命館大学 名誉教授 大久保 史郎

 日本国憲法は、戦後60余年、常に改憲・護憲の対立の渦中におかれてきましたが、その一方で、日本社会に着実に定着してきました。その一つの役割を担ったのが憲法裁判―違憲審査です。日本の最高裁は憲法判断―違憲判断には極めて消極的でしたが、近年、その「活性化」も言われています。昨年9月4日の「婚外子」相続分に関する違憲判決は、国民生活に大きなインパクトを与えるものでしたが、11月20日の衆議院選挙制度の議員定数をめぐる判決は「違憲状態」と言いながら、「合憲」とすっきりしない判決でした。

 今回の土曜講座は、5月3日の憲法記念日にあたりますので、こうした憲法裁判の実相をお伝えしながら、最高裁がこれまで日本国憲法をどのように扱ってきたか、国民にを伝えてきたか、あるいは、伝えなかったか、そこにどのような背景があるのかをお話します。こうした「判決」を「読む」ことを通じて、「憲法」とは何かを考えるきっかけにしていただいたら、幸いです。