2017年1月21日 (第3191回)

三次元デジタルドキュメンテーションが拓く文化遺産の新たな世界

奈良文化財研究所埋蔵文化財センター 遺跡・調査技術研究室・アソシエイトフェロー 山口 欧志

 これまで文化遺産の記録には、文章や写真、動画が使われてきました。しかし近年、情報技術の革新と応用によって、新たな方法が登場しました。三次元レーザースキャナーなどを用いたデジタル三次元計測です。デジタル三次元計測の登場によって、文化遺産のカタチを三次元の数値で記録し、分析し、伝えることができるようになりました。

  文化遺産の三次元デジタルドキュメンテーションとは、文化遺産の研究や保存・保護、活用を図るため、文化遺産の三次元計測とこれに関わる情報(メタデータといいます)を整理し資料化することです。

  この方法によって、これまでその場に居る者しか経験できなかった文化遺産の状況を、より実体に近い状態で、より多くの人が経験できるようになりました。また、今まで人の肉眼では捉えることができなかった文化遺産の微細な部分も資料化して皆で見えるようにする方法も開発しています。

  本講演では、国内外の文化遺産を例に三次元デジタルドキュメンテーションの事例を照会しつつ、三次元デジタル文化遺産がもたらす文化遺産の新たな世界を展望します。

20170121