2022年6月18日(第3360回)

自然な言語表現のための副詞の有効活用:英語を中心に

立命館大学言語教育情報研究科 教授 滝沢 直宏

 「最近、めっきり涼しくなってきましたね」、「奈良を訪問すると、なぜか懐かしい気分になります」、「彼の発言は、ずっしり重く胸に響いた」のように、「めっきり、なぜか、ずっしり」などの副詞を適切に使うと、日本語としてとても自然な表現になります。副詞は、文の骨格には関わってこないので、文法研究の観点からはあまり重視されないかもしれませんが、自然な言語表現のためには大変重要な品詞です。どの副詞がどの語と相性良く結び付くかは、電子化された大規模な言語資料(コーパスと呼ばれます)をコンピュータの力を借りて処理することで、暴くことができます。言語知識は、頭の中に存在しているわけですが、その頭の中に無意識に存在する知識をコンピュータの力を借りて暴く試み(「無意識の知識を炙り出す試み」)についてお話しすることになります。英語を中心にして、日本語にも触れながら、副詞がどのように自然な言語表現に寄与するかを考えます。