2024年04⽉06⽇(第3401回)

AIの国際的なルールづくりに向けて

⽴命館⼤学国際関係学部 教授 川村 仁⼦

 AIのような先端科学技術は、人類や社会が抱える問題を解決する希望となる可能性と人類や社会の脅威となる可能性の双方を有しています。それゆえ、先端科学技術ガバナンスでは、その研究・開発を妨げずいかに予想を超える被害をもたらしうるリスクにいかに対応するかという、研究・開発の促進とリスク管理の両立が重要となります。

また、先端科学技術は、国境を越える甚大な損害を引き起こすリスクを有することや、国際協力や官民パートナーシップによって研究・開発が行われること、先端科学技術を持てる国と持たざる国の格差への配慮が必要性であること、全ての人類に影響を与える創造性と破壊性を併せ持つことなどの特徴を有するがゆえに、その国際的なガバナンスが求められます。

 今回の土曜講座では、これまでの先端科学技術ガバナンスにおける原則を紹介した上で、AIのガバナンスをめぐる2つの潮流について概説し、特にAIについてのルールづくりを国家間で試みているEUのAI法案に焦点を当てながら、AIの国際的なルールづくりに向けた取り組みについて議論したいと思います。