2007年4月21日 (第2810回)

エイズとの闘い―世界を変えた人々の声

立命館大学 COE推進機構 教授 林 達雄

 アフリカに関わりはじめてから22年がたつ。日本から見れば遠いようだがその実、日本を含めて、この世界の現実を映しだす鏡である。

 南アフリカのホスピスで死を待つ子供の姿を目にしたとき、わが身にたいする強い怒りを感じた。薬はあるのにこの子には届けられないからである。この社会・この世界を本気にさせればこの子の命を救えるのに、あきらめていたからである。

 実際にこの子たちの命を救ったのは身を挺して訴えたアフリカの感染者たちであった。世界中からの応援の声であった。国際世論が国際政治を変え、子供の命を取り戻した。

 残念ながら、その国際世論にこの日本は加わらなかった。日本の私たちも決して無力ではない。今度こそはと、心に誓った。