10月1日から6日間、びわこ・くさつキャンパス(以下:BKC)で、日本初となる、学生主催のSDGs※体験型イベント「Sustainable Week」が開催された。BKCで活動する25の学生団体が「はじめよう、僕らの未来デザイン」をテーマにそれぞれの活動内容や専門性を生かして、17の目標を達成するための企画を開催。実行委員長を務めたのが馬場さんだ。

※持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)は、2015年の国連サミットで採択され、国際社会全体の開発目標として17の目標が設定された。「誰一人取り残さない」社会の実現を目指した、経済・社会・環境をめぐる広範な課題である。

学生の力で多くの問題を解決していきたい

小学生の頃から環境問題に興味を持ち、環境システム工学科で学ぶ馬場さんは、3回生のときに環境省が主催するESD「見える化」レポートプロジェクト※の学生レポーターに選抜され参加。取材を通して身近な社会問題の解決に向けて自分のできることから取り組み、人を巻き込んでいくことに共感し、自分でも何か行動したいと考えるようになった。そんなとき、友人から環境サークルと取り組んでいたエコイベントについて意見を求められたことがきっかけで、馬場さんもそのプロジェクトに関わることになった。そこで提案したのが、SDGsを用いたイベントだった。環境問題の根本には、経済や政治などさまざまな問題があると考え、イベントを通して少しでも多くの人に関心を持ってもらい、社会問題に関わる機会を大学生が主体となってつくりたかったと話す。そして、学生自身が企画構想から実施運営まですべて行うことに挑戦し、自分を試す機会をつくることも大きな目的だったと振り返る。

※大学生が各地に赴き、地域で持続可能な社会づくりに取り組む先輩たちを取材し、ESDや環境教育のあり方を考え、冊子にするプロジェクト

大きな理想を掲げ、人と人をつなぐ

3月、馬場さんは活動内容とSustainable Weekの理念が一致するような学生団体に協力を呼びかけた。それぞれの専門性を生かして自由に取り組んでもらいたいという思いから、各団体には17の目標から挑戦したいものを選んでもらい、企画内容も任せたという。学内での準備を進めながら、市民向けのワークショップではSDGsの説明やSustainable Weekで実施される企画について紹介し、地域にも積極的に情報発信を行った。イベント期間中は、ロボット技術の体験や料理の提供、筋力エクササイズなど多様な企画が行われ、参加者は合計2300人以上にのぼった。

今回のイベントに関わった学生は約700人。大勢の学生のリーダーとして、常に自分の熱い思いを伝えることを意識し、全ての団体の作業も手伝った。イベントを振り返り、「たくさんの人々の共感と協力のおかげで25の学生団体がその枠を超えて連携し、身近な問題意識の解決にチャレンジする機会をつくることができました。そして同じ目標を目指し、それぞれの強みを組み合わせて協力することで、社会に向けて大きなインパクトを与えることができました」と笑顔をみせた。今後も世界のさまざまな問題に目を向けていきたいと語る馬場さん。芸術作品を通して社会・環境問題を体感できるような個展をやってみたいと、次の目標を見据えている。

PROFILE

馬場亮輔さん

立命館宇治高等学校(京都府)卒業。橋本征二教授の循環型社会研究室に所属し、環境経済学の分野で研究を行っている。趣味は音楽。中学生の頃からギターを始め、現在はアコースティックギターサークルで活動中。

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