創業100年を超える福岡県の老舗店「高石餅店」でのインターンシップに参加した株本さん。「学生の視点で新商品の開発と販売戦略を考えてほしい」という課題に対し、八女抹茶と宇治抹茶を使用したおはぎを食べ比べできるセット商品を考案・販売した。

在籍しているオナーズプログラムの先輩で、高石餅店店主である清藤さんの誘いで高石餅店でのインターンシップを決意したのが2017年の5月。経営学を学んでいた株本さんは首都圏と地方での働き方の違いに以前から興味があったという。「もっと広い視野をもって働き方について考えたかったので、実際に地方で働いてみたかったんです」

固定概念を覆し、新たな価値に気付いてもらう販売方法を提案

商品開発にむけて和菓子屋巡りなどをしていた株本さんは、違うプログラムで八女市に行ったときに八女抹茶と出会った。「九州では八女抹茶が有名で、『抹茶=八女抹茶』として販売されていることを知りました」

宇治抹茶は関西では有名だが、九州ではあまり知られていない。そこで宇治抹茶も食してもらい、八女抹茶との違いや双方の特長を感じてもらえれば面白いのではないか、食べ比べしてもらってはどうかと考えた。株本さんのアイデアは、お店からも賛同され商品化が決定した。

接客を通じて、感謝される喜び、楽しさを実感

7泊8日のインターンシップ。1日目はお店の方々と一緒に商品をつくり、2日から販売を開始した。2日間の出張販売も行い、300個を完売させたという。インターンシップ終了後も引き続き販売された食べ比べおはぎは、2週間で前年比178%の売り上げ向上に貢献。「お客さんから『同じ抹茶なのに、やっぱり違うね』と言われ、2種類の抹茶の違いやそれぞれの価値を感じてもらえることができて良かったです」という株本さんは、接客の楽しさも実感していた。「『今度もお兄さんから商品を買いたい』と言ってもらえたのがとても印象的でした。お客さんに感謝される喜び、短い時間でも親身に向き合えば相手にも通じるということ、そして現地の人の温かさを実感しました」

場所やニーズによって変化するマーケティングの選択肢

「このインターンシップを通じて、新しい価値は必ずしも新しいものから生み出す必要はなく、既存のものの価値を新たに発見することもマーケティングの一つなのだと学びました」と目を輝かせる株本さん。この数年さまざまな経験をし、成長した株本さんは、今後をこう語った。「目の前の人の問題解決を通じて組織の問題解決ができる人、『人と人』としての関係を築けるような人になりたいです」。明確な志を抱くその眼差しは、次の挑戦への意欲に満ちていた。

PROFILE

株本 誉さん

奈良県立郡山高等学校(奈良県)卒業。小学4年から高校3年までサッカー部に所属、大学進学を目標に計画を組み、文武両道に努めた。SCHLUNZE Rolf Dieter教授のゼミで国際経営学、特に異文化マネジメント領域について学ぶ傍ら、オナーズプログラム13期生として活動している。2回生時に全国学生環境ビジネスコンテスト「em factory 2016」で優勝。現在は、交流学生プログラム制度を利用し、立命館アジア太平洋大学に留学中。

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