長年続けてきた将棋で地域に貢献を
2017年12月の「全日本学生将棋王座戦」と2018年3月の「学生将棋選手権」団体戦で連覇を成し遂げ、日本一の強さを誇る将棋研究会の勝利に貢献してきた、山本さん。その傍ら、地域に貢献したいと、毎週小学生を対象とした将棋教室「将太郎クラブ」や「立命館大学杯子ども将棋大会」の開催に取り組んできた。
子どもたちに将棋の魅力を伝えたい
2016年8月、草津市老上区で行われた子ども将棋大会の運営サポートで、将棋研究会が地域の方と交流したことをきっかけに、自分が今住んでいる草津市で何かできないかと考えるようになった。それまでも将棋研究会の地域貢献活動として、単発のイベントに取り組む機会はあったが、「小学1年生から続けてきた将棋を生かして、より地域を活性化し、将棋の魅力を伝えていきたい」と、継続的な小学生対象の将棋教室を始めることを決意。2016年11月から草津市老上町づくりセンターで、地域の方の協力を得て、将棋研究会の有志数名と、教室をスタートさせた。
「大学生が教えてくれる将棋教室」は口コミで広がり、始めの参加者は老上学区の6人だったが、今では大津や守山からも集まり、20人が通っている。将棋にとても熱心な子やにぎやかに楽しんでいる子もいる教室では、「子どもに合わせて、自分が培ってきた技術を伝えたり、ミニゲームを取り入れながら、将棋の楽しさを知ってもらったり、それぞれに合った指導をしたい」と話す。子どもたちの成長を感じられることや大会の出場報告、保護者の方から「毎日熱心に将棋をしています」といった声を聞くと、うれしさとともに、励みや刺激にもなるという。
2018年4月から、草津市教育委員会から社会教育団体の認定を受け、名称を「未来開拓・湖国子ども将棋教室」(通称:将太郎クラブ)とした。「小学生には、未来が広がっているので、小さいころから、打ち込めるものをみつけるきっかけになってほしい」という思いがこめられている。
初めての子ども将棋大会を開催
2017年9月には、地域と大学を巻きこんで将棋研究会の伝統を作りたいと、びわこ・くさつキャンパスで初めての「第1回立命館大学杯子ども将棋大会」を開催した。県内から小中学生24人が参加し、リーグ戦や在学する女流プロ棋士との対局企画などを実施。後援の依頼やポスターやチラシの作成など、主催者として、一から作り上げることの大変さや大会を支えてくれている人がいるということを改めて感じ、視野も広がったと振り返る。
「将棋教室も最初は人が集まるか、不安もありましたが、動き出さないと何も始まらない。そう思ってチャレンジしてきました。自分の企画にみんながついてきてくれて、成功したときはとても嬉しかったです。これからも将棋教室を続け、大会も開催していきます」と笑顔で話す姿に、熱意と力強さを感じた。
PROFILE
山本将太郎さん
野田学園中学・高等学校(山口県)卒業。将棋アマチュア五段。小学1年生から将棋を始め、小学3年生から道場に通い始める。3回生では将棋研究会の代表を務め、現在も所属。若山守教授の酵素工学研究室で、酵素を使い、カニの甲羅等に含まれる物質から有用物質を生産する研究に取り組む。
<2017年度の戦績>
全国アマチュア竜王戦ベスト8(個人戦)
学生将棋選手権 優勝(団体戦)
オール学生将棋選手権 優勝(団体戦)
富士通杯争奪全国大学対抗将棋大会 優勝(団体戦)
全日本学生将棋王座戦 優勝(団体戦)