「世界大会で優勝したい」。その思いを持ち続けた情報理工学部プロジェクト団体Ri-oneの西田さん。カナダで開催された「ロボカップ2018※」レスキューシミュレーションリーグ(以下:レスキュー)のテクニカルチャレンジ部門で、ついに優勝を果たした。レスキューのリーダーとして、16人のメンバーと共に開発に打ち込んできた努力が実を結んだ瞬間だった。

※レスキューシミュレーション、サッカー、@ホームエデュケーションの3つのリーグがあり、Ri-oneは各リーグに3チームが出場。

新しい分野を学びたい

高校では、理科研究部で研究に打ち込み、生命科学部応用科学科に進学。プログラミングのプロセスが「仮説、実証、考察」を繰り返す研究と似ていると感じ、「新しい世界を学んでみたい」とRi-oneに加入した。メンバーは授業でもプログラミングを学ぶ情報理工学部生が多く、専門ではない西田さんは開発に携わっていくため、独学や先輩に教えてもらいながら技術を身につけていった。毎日何時間も試行錯誤を重ね、大会前には夜通し作業に没頭したという。「思うようにいかないけれど、一つ一つその原因を追究していくこと」がプログラミングの面白さだと語る。

「RoboCup」は事前に論文審査が行われた。全員で論文を完成させ、無事審査を突破。カナダでの「RoboCup2018」の出場権を獲得した。レスキューは災害救助ロボットを作ることを目的としたリーグで、マップ上で起こる災害に対し、複数のロボットを動かし、どれだけ効率的に救助できたかを競うエージェントシミュレーション部門と、そのプログラム技術を競うテクニカルチャレンジ部門がある。予選、準決勝、決勝それぞれ、複数のマップやシナリオで災害シミュレーションをし、点数がつけられる。Ri-oneはいかにロボットに協調行動をさせるかにこだわった。西田さんは、専門家や専門に研究する学生たちに対し、競技にも加点される英語でのプログラムに関する発表や質疑応答も担当。「事前の準備はとても大変でしたが、海外のチームと意見交換をすることができてよかった」と話す。

チーム一丸となって開発に取り組む

2017年の春、メンバー全員の指名を受けてリーダーになった西田さん。最初に「全員が開発に関われるようにしたい」と考えた。Ri-oneはメンバーが少なかったことなどもあり、技術を持った人が率先して開発に取り組み、後輩の育成に力をいれていなかったためだ。仕事を割り振り、サポートをしながら定期的に全員の進捗を確認した。「全員が本気で世界大会での優勝を目指し、ぶつかり合う。だからこそ、成長できたと思います」と振り返る。「高校生の頃に出場した科学の世界大会では表彰台に上がれず、とても悔しかったですが、また違う世界の舞台で優勝を果たすことができました。自分がリーダーとしてやってきたチームで優勝できて本当に嬉しいです」と喜びをかみしめる。目標としていた世界大会での優勝を果たした今、「いつかは化学で世界を舞台に活躍したい」という新たな目標を抱いている。

PROFILE

西田孝典さん

大阪府立千里高等学校(大阪府)卒業。中学は陸上部で短距離に打ち込み、高校では理科研究部に所属。大気中のオゾンの濃度を簡単に調べる方法を開発し、「高校生科学技術チャレンジ」にて入賞、「インテル国際学生科学技術フェア」に出場を果たす。今後は電池やエネルギー関係について研究する予定。

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