8月に開催された「第60回全日本学生ソフトテニスシングルス選手権大会」(以下:インカレ)で、立命館ソフトテニス部史上初となる優勝に輝いた梶尾さん。京都市より"京都市スポーツ大賞"に選ばれ、その功績を称えられた。

ミスを許さない練習と攻めの気持ちで勝利

「まさかインカレで優勝できるなんて思ってもいませんでした。実感が湧かず、自分でも信じられなかったです」と、歓喜の瞬間を振り返る。それもそのはず、準決勝の対戦相手は昨年2回戦で敗戦し、今年のアジア大会の日本代表チームに選出された格上の選手。続く決勝戦は団体戦で優勝している選手との対戦となった。梶尾さんは「1ポイントでも多く取れたらいい」という気持ちで、攻められる前に攻めることを意識したという。激しい心理戦に勝つために、試合中は「弱気になってはいけない。最後まで向かっていこう」という強い気持ちで挑み、見事勝利を収めた。

彼女が試合で勝つためにこだわってきたのは「ファーストサーブ」。トスをあげる際の最善位置の研究や、コート内2箇所に置いたコーンを狙い続ける練習をした。帰宅後も試合中のビデオでフォームの確認をするなど、成功率を上げるための努力を怠らなかった。実際、今回のインカレでは高確率でサーブが入り、「練習から意識して確立を高められた結果だと思います」と手応えを感じている。また試合の前の週は、コートの中にランダムで飛んでくるボールを拾う後衛練習で、ノーミスを目指したという。「シングルスは先にミスをした方が不利になります」と練習段階から常にミスをしない状態をストイックに作り続けた。

自分に勝つ自分作りで掴んだ栄光

梶尾さんのメンタルの強さの原点は中学時代にある。ソフトテニスの強豪校に進学したが、勝つことが当たり前の環境の中、団体戦で自分が原因となり敗退することが続き、ラケットを振ることさえ怖かった時期があった。そんな時に中学の先生から「ネガティブにならず、自信を持ってプレーをしなさい」と声をかけてもらったことで、「早く自分が変わらなくては」と意識が変わったという。それまでは試合中に一本ミスをすると連続でミスをするのが怖くなり、同じコースにボールを打つことはなかったが、先生の言葉を受け、ミスをしても自分を信じ、成功するまで何度でも同じコースへボールを打つ挑戦を続けた。やがてそれが成功したときには大きな自信に変わり、その後の試合でも勝てるようになったという。この経験から、試合で勝つために必要なことが「自分に負けないこと」だと学んだ梶尾さん。日本一の栄光を掴むことができたのは、自分に勝ち続けられた結果だといえる。

今大会は、シングルスでは優勝できたものの、ダブルスは1回戦で敗退している。「来年のインカレでは、シングルスの連覇、ダブルス初優勝を目指したいです」と語り、梶尾さんは更なる挑戦を続ける。

PROFILE

梶尾明日香さん

昇陽高等学校(大阪府)卒業。ソフトテニス部所属。両親の影響で3歳からソフトテニスを始める。「第45回ゴーセン杯争奪戦ハイスクールジャパンカップソフトテニス2016」ではダブルスで全国3位。趣味は買い物や映画鑑賞、好きな音楽はKing&Princeの曲。週に2回は飲食店でアルバイトをしている。

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