厳しい練習に耐え、自分の走りで駆け抜ける。
男子陸上競技部、長距離パートの今井さんが、2018年9月、「天皇賜盃第87回日本学生陸上競技対校選手権」(以下:インカレ)10000mにおいて、29:52.73のタイムで4位、日本人で2位の成績を収め、入賞を果たした。今井さんは、全日本インカレ初出場での成績に、「数日後にようやく実感がわいてきました。これまでつらいこともたくさんありましたが、このために必要な苦労だったのかなと思います」と喜びを語る。
陸上への再挑戦を決意
中学までは、サッカー少年だったという今井さん。自分のサッカーの技術力に限界を感じ、高校では「走ることが好き」という理由で陸上の道へ。負けず嫌いな性格から、競い合うことを楽しんでいたという。大学入学前には、1年間陸上を離れていたため、体重も増加し、大学でも陸上をやっていけるか不安も大きかったと振り返る。しかし、コーチからの「自分のペースでいいよ」という言葉に陸上を続けることを決意した。
ベストな状態で大会に臨むことの難しさ
大学入学後は、陸上中心の学生生活を送ってきた。大学の練習は、高校時代と比べてかなりハードだが、常に自分への甘えは許さず、練習メニューにしっかり取り組むことを徹底。実力にあった目標をたて、それをクリアすればまた次の目標に向かって、ひたすら努力を続けてきた。その甲斐もあり、1年間のブランクを取り戻すのに、そう長くはかからなかった。ただ、怪我や体調不良など何度もアクシデントに見舞われた。体重を減らすことで免疫力が低下し体調を壊しやすくなったり、ハードな練習後の食事や勉強、睡眠など、自身のペースをうまくつかむことができなかったという。それでも自身の生活や食事を都度見直し続けた結果、2017年9月には、自己ベストを大きく更新し、インカレのB標準、29:25をきることができた。それまでインカレ出場を意識したことがなかった今井さんの目標は、インカレで入賞することになったという。その後、出雲駅伝出場も経験。
「スピードはないが、ペースが大きく乱れず、押していく力がある」と自身の強みを語る。長距離では、駆引きが重要となり、自分の強みや弱みを考え、レース展開に適応しなければならない。今回のインカレのレースでは、オーバーペースで走っていた選手が後退し、無理のないイーブンペースで走っていた自分に有利なレース展開だったことが幸いした。「今回の結果はもちろん嬉しいですが、まだまだ上がいますから」と自身の現状に満足はしていない。
少し余裕のある努力を継続したい
「長距離では、継続して努力することがとても大切です。気合だけで頑張ろうと思ってもいつかは限界がきてしまい、気持ちの乗らない時期がどうしてもきてしまう。だからこそ、少し余裕があるくらいの努力を続けていくことが大事だと思います」と話す。「今シーズンの目標は10000mで28:45をきること。チームとしては、10月に開催される出雲駅伝、11月の全日本駅伝では、エース区間を区間5位以上で走りきりたい」と力強く語った。常に自分に厳しく、陸上に真摯に向き合ってきた彼のこれからの走りに注目していきたい。
PROFILE
今井崇人さん
兵庫県立宝塚北高等学校(兵庫県)卒業。男子陸上競技部では、週6日の練習をこなす。田畑泉教授のゼミに所属。今後は、タバタトレーニングを用いて、まだ発見されていないトレーニング効果について研究予定。趣味は、カラオケと散歩。
<2018年度大会成績>
第95回関西学生陸上競技対校選手権大会10000m 3位
第87回日本学生陸上競技対校選手権大会10000m 4位