“全員友達”をコンセプトに

「スポーツは人と人をつなげるもの」と熱い思いを語る春日さん。所属ゼミの種子田教授の「児童養護施設の子どもたちを対象にしたサッカー教室」の発案に有志が集まり、「サッカーでつながろう」プロジェクトを発足。6人のメンバーで滋賀県内の児童養護施設の子どもたちを対象にしたサッカー教室を企画した。当日は、3つの施設から16人の子どもたちが参加。セレッソ大阪のスクールマスターで元日本代表勝矢寿延さんとセレッソ大阪スクールのコーチ濱田武さんを講師に招き、勝矢さんの講演、ミニゲームを行い、またTシャツや旗づくりと盛りだくさんの内容で、子どもたちの笑顔があふれたイベントとなった。

学生の自分たちが社会に対してできること

4月、プロジェクトを発足したものの資金はゼロという状況だったため、滋賀県内で協賛してくれる企業を探すことに。春日さんが 2回生の時にインターンシップをしていた、子ども向けのスポーツイベントなどを主催する財団法人など、2つの財団と企業からの協賛を得ることができた。そして、8月にはメンバーで分担し、4つの児童養護施設を訪問しイベントの案内を行った。当初、施設は社会に対し閉鎖的かもしれないという先入観を持っていた春日さんは、「このようなイベントは受け入れてもらえるのか」という不安やためらいもあったという。しかし、「子どもたちを社会に触れさせたい。今回のようなアプローチはもっとほしい」と訪問した施設の方から言われ、それまでのイメージも変わっていった。

メンバーは全員3回生で、学業やインターンシップ、その他の活動で忙しく、全員の日程調整がとても大変だったと振り返る。忙しい中でもこのプロジェクトに当事者意識を持ち、思いを向けてほしいと考えていた春日さんは、メンバーの経験や特性を生かせるよう仕事を分担し、信頼して任せるようにした。これまでリーダーの経験があったが、自分で何でもやってしまうことが多かったため、「頼ることもリーダーシップ」と学び実践できたと話す。

「子どもたちには自分にはわからない、さまざまなバックグラウンドがあるかもしれません。今回は単純に楽しい時間を過ごして、大切な思い出にしてほしかったんです」とイベントにこめた思いを語る。最初は、堅かった子どもたちも少しずつ笑顔をみせ、サッカーをする頃にはハイタッチをしたり、打ち解けた様子だった。「子どもたちがとても楽しんでくれていたことが伝わってきて、嬉しかったです。学生だけど、社会やいろんな人を巻き込んで実現させることができるんだと実感しました」と笑顔を見せる。

スポーツで人を幸せにしたい

これまで、「スポーツを通して自分にできることはなんなのか」と考え、被災地でのボランティアやインターンシップ、今回のプロジェクトに取り組んできた春日さん。これからもスポーツで幸せを与えていきたいと強い思いを持っている。世界中から人が集まるようなスタジアムを作る、スポーツで地元を活性化させる、など春日さんの夢はさらに広がるばかりだ。

PROFILE

春日結汰さん

新潟県立津南中等教育学校(新潟県)卒業 。1回生のとき、アメリカのスポーツをビジネスの面から学ぶため、1週間NYに滞在しスタジアムなどを視察。2回生では、一般財団法人UNITED SPORTS FOUNDATIONにて1年間インターンシップを経験。現在は種子田教授のゼミでプロスポーツビジネスについて学ぶ。スタジアムがよりよい空間になるにはどんな手段があるかという点に着目し、「『勝敗に限らず、観客数を増やす方法』を地域性の観点から明らかにすること」について研究予定。

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