鉄道の歴史を紐解いていきたい~京都鉄道博物館で研究成果を展示~
2018年12月から約1カ月間、鉄道研究会が京都鉄道博物館において「滋賀県の鉄道」をテーマに研究発表を行った。京都鉄道博物館の博学連携事業の一環として行われた連携展示で大学サークルが展示を行うのは、初の試みであった。その担当として企画に取り組んだのが、鉄道研究会の廣瀨さんだ。「普段何気なく使っている路線には、積み重ねられてきた歴史や魅力がつまっていることを知ってもらいたい」と展示にこめた思いを話す。
鉄道への熱い思い
鉄道研究会は、毎年発行する機関紙『ポイント』発行に向けての研究活動をメインに行っている。それ以外にも学内イベントや学外でも模型やプラレールの展示、子供向けの運転体験展示などを行っている。「鉄道という同じものに興味をもつ個人が、チームで研究やイベントを開催することができるのは本当に楽しいです」と活動の魅力を語る。2018年度は「滋賀県の鉄道」をテーマに、それぞれが各路線の歴史や沿線情報、ダイヤ、車両などについて研究。廣瀨さんは、「近江鉄道の貨物輸送の歴史」について研究した。
実践でさらなる学びに
廣瀨さんは、学芸員課程を履修しており、連携展示の話が舞い込んだとき、「関西エリア最大級の鉄道博物館で自分たちの研究を発表できることに大きな期待を抱くと同時に、学芸員課程での学びを生かして新しいことにチャレンジできると思い、とても嬉しかったです」と振り返る。それから展示資料の選定や編集作業、キャプションの作成などに取り組んだ。鉄道研究会の部室に保存されていた過去の資料からも展示できる資料を選定して調査を行うなど、準備は多忙を極めた。特に大変だったのは編集作業だ。タイトなスケジュールの中、10人の執筆者とやりとりをしながら、文章の校正や専門用語をわかりやすい表現に修正、そして特に気を使ったのは執筆者の意思を尊重しながらの編集作業だったという。
実際の展示を見て、「自分たちの研究成果物が鉄道博物館にある、というだけで達成感がありました。その展示を見てくれている人がいるのをみると改めて嬉しくなりました」と笑顔を見せる。資料の取り扱いや見せ方、キャプションの作り方など講義で学んだことを実践で生かせたことは大きな学びとなった。「実際に企画をたて、その展示物に触れ、どう見せるのかを考えることは難しく、悩んだこともありましたが、とてもよい経験になりました」と話す。
今後は、「部室にある先輩たちが積み重ねてきた研究資料を整理し、資料からどのようなことがわかるのか、考察していきたい。鉄道研究会の資料を通して、鉄道の歴史を紐解いてみたいです」と、語った。鉄道に魅了された廣瀨さんの研究はこれからも続いていく。
PROFILE
廣瀨 匠さん
芦間高等学校(大阪府)卒業。小学校から空手道に打ち込み、全日本空手道連盟空手道公認初段を取得。趣味は、読書や旅行、駅舎などの近代建築やカフェめぐり。お気に入りの列車は、父と乗った寝台特急「日本海」で思い出のある列車だ。京都学を専攻し、田中聡教授のゼミに所属。今後は、梅小路機関区について研究する予定。