「プロサッカー選手になる」という小さい頃からの夢を実現させ、Jリーグ・ロアッソ熊本への入団が内定した体育会サッカー部に所属する竹本さん。中学1年生から6年間、Jリーグ・サンフレッチェ広島F.Cの下部組織に所属し、プロ選手が身近な存在であった彼は、「いつかプロサッカー選手のように大きな舞台でプレーしたい」と思うようになった。その夢はいつしか目標となり、卒業後はプロとしてプレーすることが決まった。夢の実現に「地元のみんなや家族が応援してくれていたので、恩返しできたことが一番うれしい」と喜びを語る。そして、プロの世界に挑んでいく彼が、その覚悟を語ってくれた。

勝利への思いがもたらしたチームの変化と芽生えた責任感

ボランチとして、周りの選手の特徴を生かしたプレーや、試合をコントロールできる状況判断、指揮する力を強みとする竹本さん。100人以上もの部員が所属するサッカー部で、1回生の頃から試合に出場していたが、高校のサッカーよりも攻守の切り替えが激しく、速いスピードについていくのは大変だったという。より高いレベルに追いつくため、必死に練習し、先輩とのコミュニケーションをとり、経験を重ねた彼は、2回生になると「守備にも攻撃にも魅力ある選手になろう」という目標に少しずつ近づいていった。しかし、3回生の2018年関西学生サッカー前期リーグの開幕後、チームはなかなか勝つことができず、苦しい時期が続いた。メンバーは、3回生が多かったため「自分たちがもっと率先して声を出し、積極的な姿勢を見せていこう。自分たちがチームを引っ張っていこう」と、ミーティングを行い、練習内容の見直しや、学年に関わらず意見をいい合える環境づくりを行った。その結果、後期のリーグ開幕後は、3連勝を勝ち取った。当時を振り返り、「自分がやらなければいけない、と責任感を抱くようになり、後輩の指導にも力を入れるなど、自分自身を変えるきっかけになった」という。

※守備的MFで、中盤に位置する。相手の攻撃を早期に潰し、味方の攻撃の起点となる、攻守の要となる役割。

天皇杯での激戦を振り返る

今年、サッカー部は、4年ぶりに「天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会」への出場を果たし、奈良クラブとの初戦を突破。2回戦では、J1の横浜F・マリノスと対戦した。「レベルの差を感じたが、技術面では、自分の力が通用すると感じた部分もあった。1対2という結果に悔しい思いもあるが、もっと頑張ろうと思う原動力にもなり、刺激を受けた」と話すとおり、彼にとって学生生活の中でも最も印象に残った対戦となった。

プロサッカー選手として活躍することを目指してきた彼は、練習の際に毎回テーマを決めて取り組んでいる。「漠然とした練習は、時間がもったいない。一つひとつ目標をもって取り組むことが大事」と、1回生からプロになることを意識して、練習に取り組んできた。入団内定後は、喜びと同時に厳しい世界への不安やプレッシャーもあるという。「入団が決まったからこそ、ここで終わりではなく、これからもっと頑張らなければと強く思っている」と話し、これまで以上に練習に励んでいる。プロ入団後は、「このチームには、この選手が欠かせない、という存在感のある選手になり、体を張った守備や得点に絡める攻撃など、チームの要になりたい」と力強く目標を語った。プロサッカー選手としての活躍を耳にする日はそう遠くはないだろう。

PROFILE

竹本雄飛さん

広島県立吉田高等学校卒業。小学3年生からサッカーを始める。温泉巡りが好きで、シーズン中には、自炊をして栄養管理に努めている。試合前にはMr.Childrenの曲を聞きながら、プレーのイメージをして試合に臨む。

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