「私たちのこの企画は、たくさんの温かい“人との縁”に支えられました」と話すのは「料理を通して地域に貢献すること」をテーマに活動する立命館大学料理サークルmeRci(以下、meRci)代表の佐藤仙一郎さんと副代表の笠井辰実さん。8月27日~31日の5日間、敷島住宅株式会社滋賀支店内のオープンスペースで「地産地消で地域をつなげる!~食べるだけじゃないカフェ??~」を開催した。地元食材の魅力を伝えるためにmeRciが一丸となって作り上げたこだわりの空間は、地域の人たちとの絆やたくさんの笑顔を生み出した。

地域と地元食材を繋げる場所をつくる

「カフェをするだけでは何も生まれない。地元食材を『知る、買う、食べる』この3つが繋がる場所を作りたかった」と話すのは、企画担当を務めた笠井さん。JAレーク大津グリーンファーム石山店と協力して新鮮な地元野菜が並ぶファーマーズマーケットの開催、学生団体と共同した食育講座を同時に企画した。

地元食材であるモロヘイヤと大葉を生かした和風ジェノベーゼパスタなど、滋賀県産にこだわったオリジナルパスタは、料理サークルのプライドをかけ何度も試作を重ねたもの。さらに一冊ずつ手作りされたメニュー表には、可愛らしい料理のイラストやオリジナルパスタのレシピ、野菜を提供してもらった生産者のインタビュー記事などが丁寧に書かれていた。「訪れた人に、料理を待っている間にも楽しい時間を過ごしてもらい、地元野菜の魅力や生産者の思いを知ってもらいたい」とみなで心を込めたという。地域の人と地元食材を結ぶ場となった店内は、たくさんの人の優しい思いが集まった。

チームで成し遂げるために

「メンバー全員が意識を高く持ち、みんなが楽しみながら関われるよう運営することが難しかった」と運営担当を務めた佐藤さんは話してくれた。人と話をするのが得意であれば接客を担当し、イラストを書くのが得意ならばデザインを行うなど、全員が力を発揮できるよう、それぞれの長所を生かす役割分担を行ったという。一方で、関係者のみで行ったプレオープンでは、チームの連携の悪さから料理の提供まで1時間もかかるなど悲惨な状態であったと話す。「サークル活動であっても遊びではない。お客さんに最高のサービスを提供するためには、このままではいけない」と、佐藤さんをはじめ、全員が責任と厳しさに向き合い気を引き締めた。それでもオープン後は“大学生らしく”和気藹々とした雰囲気で訪れた人たちをもてなすことに努めたという。「5日間を通してメンバーの連携や接客の質が上がり、たくさんのお客さんに褒めてもらえました」と喜びをみせた。

“地域との接点”から生まれた繋がりを生かして

5日間を通して来店者は305人。「たくさんの人に協力してもらい、地域ならではの“優しさ”が身に沁みました」と、二人は振り返る。企画から見守っていた敷島住宅株式会社の人たちや、食材を提供してくれた生産者、来店した地域の人たちの細やかな心遣いに熱い思いがこみ上げたという。大切そうに見せてくれた130枚のアンケートには「私たちが作った野菜を美味しく調理してくれてありがとう」など心温まる言葉が並ぶ。「食材を提供してもらってカフェにも食べに来てくれて、こう言ってもらえたら、頑張らずにはいられません」笠井さんは嬉しそうに、その言葉を噛みしめる。そして「この成功は“meRciのみんな”で掴んだもの」そう誇らしげに、彼らは口を揃えた。今後は「サークルの思いである『料理を通して地域に貢献すること』を、もっとたくさんの人に伝えていきたい」と、来春で創設3年目を迎えるmeRciは、新たな楽しい料理を計画中だ。

PROFILE

佐藤仙一郎さん

私立実践学園高等学校(東京都)卒業。読書が趣味で、新書や日本・世界の歴史本を楽しむ。食べログを参考にお店探しをしており、自分のテリトリーであればジャンルごとに美味しいお店情報が言える特技あり。得意料理は中華鍋で作る本格チャーハン。「街のチャーハンを超える!」というポリシーのもと、絶品チャーハン作りに日々研鑽している。

笠井辰実さん

高松第一高等学校(香川県)卒業。休みの日には家でゆっくりと音楽を聴いてリフレッシュ。期間限定カフェの企画担当を全うし、meRciの全員が認めるほど一番の成長をみせた。カフェで提供した担々麺風パスタは彼のアイディアが光るメニュー。得意料理は鰹と昆布から出汁をとって作る親子丼。

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