舞鶴の小学校で兄の影響から始めた野球。小学校の時はエースでもあり、俊足を生かしてどこでも守れるマルチプレーヤーだった三上さん。立命館宇治高等学校硬式野球部に入部後も順風満帆の野球人生を送る予定だったが、紆余曲折を経ることになる。

高校1年の夏、左膝の靭帯を切る怪我を負い、半年間を棒に振ってしまう。復帰し、高校3年にはスタメンで出場する機会も増えてきたが、今度は半月版を損傷。度重なる怪我によりその後はベンチ外での日々を過ごした。挫折を味わい、苦しみながらも野球を続けられたのは、入院時にお見舞いに駆けつけてくれたりと、支えてくれたチームメイトのおかげ。また、チームメイトが真剣に野球に向き合い努力している姿を見て、もう一度活躍したいという強い気持ちを持っていたからだという。大学でも野球を続けるか迷ったが、膝のことも考え高校卒業を機に野球を断念することにした。

大学で新たな野球人生がスタート

大学入学後はもう一つの夢である役者を目指し、事務所のオーディションを受けていたという。「実際に受かった事務所もあったんです。でも、入学して間もない時期で両親の反対もあり、まずは大学生活を優先し落ち着いてから再挑戦しようと決めました」と当時を振り返る。他にやりたいことも見つからずに過ごしていた頃、大学で知り合った友人に誘われて軟式野球部の体験練習に参加。その時、のびのびと、生き生きした表情で選手がプレーする姿を目の当たりにし、今までと違う新たな野球の魅力にはまった。自分が熱中できることはやっぱり野球だと強く実感し、入部を決めたという。1回生の秋からレギュラーとして活躍している三上さん。練習中プレーで目立つタイプではないが試合では必ず結果を出すタイプと自らを分析する。彼のすごいところは、全打席の配球、打球方向などが頭に叩き込まれていることだ。また、チームメイトの打率、出塁率なども覚えているという。それは、彼がただ楽しみながら野球をしているのではなく、毎試合、一打席、一打席を真剣に勝負している証拠だろう。

緊張感のある中、大きな声と笑顔でチームを盛り上げるキャプテン

「自分はキャプテン肌ではなくチームの士気を底上げするムードメーカー。副キャプテンと選手兼監督がしっかり自分をサポートしてくれているので、今も自分のスタンスを変えず野球を楽しむことができています。でも厳しい意見も言いますし、後輩にも緊張感を持って練習や試合に挑んでもらうように心がけています」。その両面が、軟式野球部を大きく成長させたのだろう。2016年の春リーグでは10戦全勝、見事7年ぶりの全日本大学軟式野球選手権大会を決めたのだ。

「キャプテンになって客観的に物事を判断する力がつきました。例えば自分の調子や結果次第でスタメン落ちすることも覚悟しています。全国では、もちろん優勝を狙います。春リーグでは81得点、失点14点と投打がかみ合うなどバランスのよいチームなんです」と確固たる自信が彼の目に映し出されていた。三上キャプテンのもと、日々進化を遂げている軟式野球部。7月から始まる全国大会での彼らの生き生きとしたプレーに注目したい。

PROFILE

三上将史さん

立命館宇治高等学校(京都府)卒業。小学校から俊足で選球眼があり、現在も1番バッターとして高い出塁率をほこるプレーヤー。小島愛ゼミに所属し、非営利組織論 について学んでいる。4回生になっても引き続き野球に没頭したいと考える一方、宅地建物取引士資格を取得したいと考えている。

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