新たな日常にこそ、知の拠点である図書館を
立命館大学図書館(以下、図書館)は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一度閉館したものの、5月より事前予約制で図書の取置きサービスなどの利用を再開。さらに図書の郵送サービスや、5万タイトル以上の電子書籍にアクセスできる試読サービスの期間延長などさまざまな取り組みにも力を入れ、6月1日からは図書館の限定開館を開始している。豊富なデータベースを取り揃え、自宅からでもアクセスできる情報を提供しているが、現状、利用者はまだまだ十分ではない。
そんななか、ライブラリースタッフ(以下、LS)として図書館に情熱を抱き、奮闘する学生がいた。薬学部3回生の近藤佑樹さんは、新たな日常にLSとして図書館を“利用する”魅力を伝えるべく、動き出している。
図書館活用術を教えます!~Zoom図書館開館~
2020年7月7日、近藤さんをはじめ7人のLSによって開催されたのはオンライン企画「図書館活用術を教えます!~Zoom図書館開館~」。図書館の基本的な利用方法をはじめ、提供されるサービスやLS厳選の図書紹介を行った。「図書館の利用者を増やしたい」と一途な思いを抱く彼だが「図書館には魅力的なサービスが揃っているのに、ほとんどが活用されていません」と話す。Zoom企画の主な目的は新入生への周知。大学に来られず課題と向き合う新入生に手を差し伸べるべく、急遽企画されたものだった。
「WEB授業では、たくさんのレポート課題が出されます。情報はいくらでもインターネットで集められる時代ですが、正しい情報を手に入れるためには、書籍や論文を活用することが大切です。そこで、ぜひ自宅から図書館のデータベースや郵送システムを活用してほしい」と熱く語る。
5月末から準備を開始し、メンバー同士で何度もリハーサルを重ねてきた。当日は新入生から院生まで約30人の学生が参加。手元に用意された原稿に目を落とすことなく、PC画面の先にいる参加者へ語りかける彼の姿に、図書館への熱い思いとこれまでの努力が垣間見える。
“図書館の魅力を伝えたい”ライブラリースタッフとしてできること
図書の配架や図書館内のイベント企画、運営など、LSとして働く学生は立命館大学の3キャンパス全体で約200人。近藤さんはBKCにいる50人のスタッフを束ねるチーフとして活躍する。
1回生の秋学期からLSを始めた彼は「当初は特別に本が好きだった訳でもなければ、図書館に情熱を抱いていた訳でもありません。それが今では、図書館が大好きになりました」と嬉しそうに話す。「たくさんの本に囲まれ、好きなものを手に取れる図書館。通うほど癖になるし、毎日1~2時間だけでも図書館に通う習慣ができると、まとまった勉強時間の確保ができます」と、自身がLSとして図書館に通うにつれて見つけた魅力を教えてくれた。
さらに、インターネットが普及する社会で、あえて“図書館に来る”その魅力を伝えるために、彼は図書館ツアーや展示企画などさまざまなイベントを企画し、試行錯誤を重ねている。「いつも同じ人が来る図書館ではなく、誰もが気軽に訪れたくなる存在にすることが目標です。イベントがあれば、みんな楽しそうにここへ来てくれる」。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、予定していたイベントはすべて中止に。それでも緊急事態宣言中、彼は自宅で大学から出される課題の合間を縫っては、WEBを活用した企画の準備や、11月に控えたLSの新人研修のための資料作りに励んできた。
「図書館の使い方は人それぞれですが『こんなサービスがあったなら、使えばよかった』と後悔してほしくありません。私の知っている図書館の知識を、できる限り伝えていきたい」と、逆風に立ち向かう彼は、これから図書館の魅力を伝えるべく進んでいく。
PROFILE
近藤佑樹さん
東海高等学校(愛知県)卒業。ミステリーやホラーなど非日常的な物語が好きで、最近では東野圭吾の作品を楽しむ。LSのチーフとして全体統括を行いながら、新メンバーを増やすためLSの広報にも力を入れている。