“誰かの力になるために”多様な価値観を追究する
「『昨日の自分より少しでも多くの意見を伝え、相手の気持ちを引き出し、受け取れるようになる』英語ができなかった私が、国際寮で1年半過ごすなかで大切にしてきたことです。“留学生とありのままに会話ができるようになりたい”ただその思いだけでした」。国際寮で「レジデント・メンター(以下、RM)※」として活動してきた坂口大晟さんは清々しい笑顔をみせる。1回生の秋期学期、目も当てられなかった自身の英語力に恐れることなく、持ち前の熱意で国際寮に身を置き、そこで驚異的な英語力向上をみせた。そして交換留学に挑むまでに成長した彼が、RMで過ごした日々とそこで見つけた新たな目標を語った。
※各キャンパスに設置された国際寮に入寮する留学生と共に生活しながら、留学生の入寮時の行政手続きや学習支援、日常生活のサポートを行う。
多文化・多様な価値に触れたい
「1回生の始め、本気でTOEICを受けたら235点。笑っちゃうような点数でした」と朗らかに話す坂口さん。留学生と共に生活するRMは語学力に優れた学生が務めるものだが、彼は迷いなく応募に踏み切ったという。
「私は自分とは違った考えや価値観を持った人と交流することが好きでした。『文化も違う留学生と共に暮らせるなんて面白いんじゃないか』この思いが強く、どうしてもRMになりたかったし、英語ができないことに一切不安を感じませんでした」と振り返る。選考面接でもすべて日本語で回答し、英語力は決して高くなかったものの、“人の役に立ちたい”という強い熱意が認められ、RMに採用された。
寮生活が始まっても、留学生であるルームメイトの会話は全く理解ができない状況。常にRM仲間などの通訳や翻訳が必要だったが、その状況に臆することなく、いつも積極的に話しかけ、言葉を交わすことを止めなかった。「会話が成立しないと分かっていても、何度でも話しかけました。“英語ができないこと”を寮生全員に理解してもらったうえで、限りなくフレンドリーに、そして誰よりも多く会話に励んだと自信を持って言えます」。
コロナ禍がもたらした前例のない日々
リーダーとして活動を活発化させようと意気込んだ矢先、新型コロナウイルス禍に見舞われた。「ルームメイトのなかには、感染への恐怖から外出を自粛してほしいと考える人がいる一方、短い期間しか日本に留学できないから外出して日本のことを学びたいと考える人もいて、それぞれの心境や意見の食い違いが浮き彫りになったんです」。
彼はRMを集め、感染予防案を策定することに。「RMがルールを決めても、ルームメイトが守れない内容では意味がありません。『RMと留学生の壁を作らない』『ただの隣人にならない』ことが、私が日々大切にしてきたことです。みんなが納得のいく内容になるよう、寮生全員と何度も議論を重ね、案をつくり上げました」。誰も経験したことのない困難のなか、さまざまな価値観を引き出し、仲間と力を合わせることでその壁を乗り越えていった。
成長を求め、世界へ
RMとして1年半の活動を全うした現在、TOEICでは900点台を獲得。全力で走ってきた日々は、彼を人間的にも大きく成長させた。「目の前で困っている人がいて、自分の力で解決して喜んでもらえる。そこにRMの魅力を感じます。海外に興味がある人はもちろん、誰かの役に立ちたいと考えている人は、RMになって後悔はありません」と自信を見せる。
そんな彼は、2022年にオーストラリアのクイーンズランド工科大学へ交換留学が決定した。留学先では専門分野である経営学を究める。「現地でも今まで通り積極的にコミュニケーションを図り、さまざまな価値観を持った人と出会い、交流し、自身の世界観や考えにさらに磨きをかけたい」と意気込む。「国際寮で英語力を高め、成長することで、自分が相手に提供できるものが増えていくことを実感しました。世界の経営を学び、日々成長しながら目の前にいる人に貢献していきたい」。大きな目標を見据える彼は、さらなる躍進を求め、世界へと突き進む。
PROFILE
坂口大晟さん
香川県立高松商業高等学校卒業。幼少期から高校3年生までサッカーに打ち込む。趣味はサッカーとアニメや漫画、映画鑑賞。休日は読書や英語の勉強に励んでいる。坂口流英語力上達のコツは、覚えた単語は日常で出番のある英文例を必ず調べるようすること。最近では幅広い業界のマーケティングを学ぶため、インターンの選考や説明会の参加に忙しい。