ショッピングモールを今以上に家族みんなで楽しんでもらいたい ~スマホを使用した「宝さがしゲーム」を実施~
interviewNO.810UPDATE2016.06.17情報理工学研究科前期課程2回生若尾あすかさん
さまざまなテナントが集まる複合商業施設は、目的をもった来訪者を目的外のテナントにも興味・関心を向けさせて立ち寄らせることで、施設全体の利益向上を狙っている。しかし目的外のテナントへ誘導させることは決して簡単ではなく、特に子ども連れの場合はゆっくり周遊することも難しい。それは大人と子どもとの間の興味・関心のズレや、大人が子どもへの対応が必要となるため時間的・精神的余裕がなくなってしまうからだ。つまり、目的外のテナントに誘導するためには、テナントに立ち寄ることで発生する時間や移動のコストに対し、テナントに対する興味が上回る必要があるという。このような問題の解決のため施設全体を盛り上げられる参加型イベントを開催できないかと、グランフロント大阪から企画提案の依頼をうけ、考案されたのがスマホを使用した「宝さがしゲーム」だ。



3回の実証実験の結果、子どもが楽しみながらゲームを進めていく過程で、同行した大人たちを目的外のテナントに多く誘導できたという。子どもと大人との気持ちのズレもなく、施設に長時間滞在する結果となり、来訪者からは子どもがイライラせずに買い物に付き合ってくれて楽しく買い物ができたという声も聞けた。
「もともと、情報系はあまり得意ではないんです」と人の気持ちに重点を置いた研究が好きな若尾さん。アンケート結果からは、夫婦や恋人間でも買い物に対する気持ちのズレが生じていることもわかり、さらに面白みを感じたという。今後も、来訪者にどんな状況でどのような気持ちの変化があるか、同伴者との気持ちの違いがあるかなどのデータを蓄積していく予定だ。さまざまな切り口から自ら課題を見つけ、解決していきたいという若尾さん。「来訪者のスマホから滞在時間やショッピングの経路などを取得し、その時のグループの様子を推定することで、次の行動を提案するようなアプローチも考えています。そして実際にショッピング時に使用できるサービスの提案に繋げていけたらいいなと考えています」
PROFILE
若尾あすかさん
富山県立富山高等学校(富山県)卒業。学部4回生まで体育会ボート部のマネージャーを務めた。
Media Experience Design研究室では仲間と積極的に話し合いコミュニケーションを大切にすることを心がけ研究している。