「今年が最後のチャンス。16m16の自己ベスト記録も出たので自信はありましたね。代表に選ばれて本当に嬉しい」と喜びを語ってくれた原田さんは、今夏開催されるU20-世界陸上競技選手権大会で男子三段跳日本代表として活躍が期待される選手だ。

※2年に1度開催され16~19歳(2016年度内に16~19歳の誕生日を迎える選手)までの各国の代表が集う世界大会。今年は7月19日~24日にポーランドのビドゴシチで開かれる

飛躍のきっかけは中学時代の教え

中学校から陸上を始め、最初はさまざまな種目に挑戦したが記録が伸びず、周りから薦められた三段跳は一番記録が良かったという。「走り幅跳は一瞬で結果が決まる競技に対して、三段跳は三歩もあるので工夫のしがいがあって面白いと思った」という原田さん。

中学校では中学生のレベル以上の技術を教わったものの、その技術を習得できなかったと振り返る。でもその教えを高校で実践すると面白いように記録が伸びていったという。「高校のときは指導者がいなくて、自分で切磋琢磨してやるしかなかったんです。動画を見たり、大会のときに他校の先生に指導を受けたりしました。その頃から自分で考えて練習するスタイルが身に付きました」。また、高校1年の冬に室内で開催された日本ジュニア室内陸上競技大会を見て、「自分もあのフィールドで競技したい」と、さらに三段跳を極めたいという気持ちが高まったという。

高校2年生で頭角を現し、全国大会の常連となった原田さん。「最初は記録がでなかったが、いずれ全国大会でも頂点を狙えるなとは思っていました」と、前向きに捉えていたという。長崎国体で、1位と2センチの差で2位になったときは「調子が良すぎて一歩目から勢いよく跳んでしまった。気持ちが抑えられずに体がついていかない時期もあったな…と今思えば懐かしいですね」と無垢な笑顔で話す。高校で出会い一緒に三段跳をしていた親友の存在に助けられたともいう。「記録で伸び悩んだときなど常に支えてくれていました。彼のおかげで今の自分がある。本当に感謝しています」。

過去や失敗について明るく振り返るが、「勝つという自信だけは誰にも負けないです」と答えたときの真剣なまなざしには、大舞台でも物怖じしない原田さんらしさが現れていた。

彼らしさが一番の強み

高校の時はトップクラスで活躍していたが、大学での勝てない時期はもどかしさを感じていたときもあったという。「自分の練習スタイルと立命館の“学生主体の練習”が合っていて、いい環境で練習できているので、いつか結果は出ると思っていた」というように、今年に入ってから着々と記録を伸ばしている。また中学の時に習得できなかった、骨盤を使って脚を上げる技術を身につけてからはよりいい飛躍ができている。「まだ完全にマスターできていないが、これを自分のものにすればもっと記録が伸びると思います」とU-20世界大会では一昨年前に先輩が成し遂げた9位以上を狙う。また今年がジュニアでのラストイヤー。16m30以上を跳びジュニア記録の更新を目指すと力強く誓ってくれた。世界の舞台で活躍できる可能性がある限りは、競技を続け進化し続けたいという原田さん。この先、シニアの世界での大飛躍も期待したい。

PROFILE

原田睦希さん

大阪府立阿倍野高等学校(大阪府)卒業。 中学ベストは12m77、高校ベストは15m36、大学ベストは16m16。

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