8月28日、大阪いばらきキャンパスで立命館大学交響楽団(以下立響)「サマーコンサート2016」が開催された。壮大に演奏する大学生の団員に混じり、緊張した表情で演奏する4名の高校生の姿があった。立響にとって初めての高校生との共演は、これまでなかった高校生との交流をはかり地域の文化活動に貢献するため、団長の近藤さんが企画した。年齢も近い大学生と高校生がお互いによい刺激となり、高校生に「大学の交響楽団の良さを知り、大学でも音楽を続けてほしい」と強く思っていたという。

大阪府にある団員の母校に依頼し、弦楽器で参加してくれる高校生を募った結果、2校からヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの4名の高校生との共演が実現することとなった。高校生にとっても大学生と舞台で共演をするのは初めての経験で、大学生のレベルについていけるか、という不安もあった。母校の弦楽部の高校生たちを迎えたヴィオラの山口さんたちは、緊張する高校生が少しでもリラックスできるよう、笑顔で楽しい雰囲気を心がけていたという。楽譜にポイントを書き込み指導するなど、団員の高校生を受け入れる体制がしっかりできていたため、高校生と打ち解けるまでに時間はかからなかったという。

「ファミリーコンサート」というテーマの通り、今年のサマーコンサートはアットホームな雰囲気のなか、幕を閉じた。今回の共演を振り返り、「来年以降も、この企画を引き継いで高校生との共演を実現させてほしい」という近藤さん。山口さんは「大学で学んだ演奏技術をもっと教えてあげたい」と話す。

学生オーケストラの可能性を広げていきたい

立響は今年創団61年目を迎え、学生オーケストラの可能性をさらに広げたい、という思いから、高校生との共演、そして7月には茨木市音楽芸術協会とのオペラ公演にも挑戦した。茨木市にゆかりのある歌手の方と立響の演奏のコラボレーションは、今後にもつながる交流になったという。

集大成となる舞台へ向けて

12月13日に開催される今年度の集大成となる冬の定期演奏会に向け、練習に励む毎日を送る立響。団長として、外部との窓口となり、120人もの団員を支える近藤さんは、「団長は、表に立つよりも影での役割が大きい。それでもこの楽団に深く関わり、団員の頑張りを一番見ることができるのはとてもやりがいがある」と笑顔で話す。次年度は、副団長となる山口さん。「普段は衣笠キャンパスでの活動のため、現在は小学校や高齢者施設での演奏活動のほとんどが京都。今後は茨木もふくめ他のキャンパスの学生や地域の方々にももっと交響楽団を知ってほしい」と意気込みを語ってくれた。次年度の活動も計画が進み、広島での地方公演を予定している。彼女たちを中心に立響の活動は、さらに広がっていくことだろう。

PROFILE

近藤 楓さん

名古屋市立菊里高等学校(愛知県)卒業。 中学からクラリネットを始め、中学、高校は吹奏楽部に所属し、音楽に打ち込む。 星野ゼミに所属し、認知心理学を学んでいる。

山口祐加さん

大阪府立三島高校(大阪府)卒業。 高校から弦楽部でヴィオラを始め、音楽に親しんできた。次年度は副団長として立命館大学交響楽団を盛り上げていく。

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