9月24日からオーストラリアのパースで、University Sailing Championship(以下:ユニバーシアード)が開催され、3月に行われた選抜大学対抗学生マッチレース大会にて出場権を得た学生5名が日本代表として出場した。その5人乗りの大型ヨットの帆を操ったのが、メインセールトリマーの小倉さんだ。

世界を目指して挑戦した大型ヨット

小倉さんがヨットを始めたのは、高校生のとき。父からの勧めと、友人からの誘いで高校のヨット部に入部した。自然を相手にする魅力にひかれ、ヨットの世界にのめりこんでいった。1人乗り、2人乗りのヨットに乗り、高校2年生で出場した国体でオリンピックを目指すナショナルチーム日本代表選手と出会い、「自分も世界に目を向けたらおもしろいのではないか」と思い始めたという。しかし、全国レベルでは結果を出せなかった。それでも世界の舞台でレースに出場したいという思いは強く、高校卒業後は経験のなかったマッチレース形式(※)を行う大型ヨットに挑戦することを決意した。 (※)マッチレースは、トーナメント形式で1対1のレース

一人で道を切り開いていくことの厳しさ

大学入学後は、ヨット部でなく複数のチームに所属した。社会人やプロ選手など、幅広い年齢層のチームメンバーと同じヨットに乗ることに最初はとまどいもあったが、技術の差がありながらも要求に応えようと必死だった。積極的に国内の大会に出場し、技術を磨いていった。そして、大学2回生のときに初めて、フランスで開催された大会にも出場した。とてもいい結果とはいえなかったが、海外レースを経験したことにより、応援してくれる人やチームを組みたいという人が除々に増えていった。今ではさまざまなチームから誘われ、各地の海でヨットに乗り、大会に出場している。今回のユニバーシアードは、大型ヨットを始めたときから目標としていた大会で、出場が決まったときは喜びもひとしおだったという。大型ヨットを始めて4年、5回目の海外での大会となったが、結果は7位に終わった。未熟な点や自分たちのつめの甘さを実感するとともに、「世界を相手に戦うには人生をかけて臨まなくてはいけないのだと改めて気づかされた」と振り返る。

同じ志を持った仲間との次なる挑戦

ユニバーシアードを経験し、「世界で活躍したい」という思いをさらに強くした小倉さん。ユニバーシアードでの戦いぶりを認められ、小倉さんのチームは来年の1月にオーストラリアで開催されるWarren Jones Youth Regattaへの出場が決まった。大型ヨットのトッププロになるための登竜門とも目される大会に向け、「良い結果を残し、さらに海外の大会にもっと出て行きたい」と意気込む。大型ヨットでは小倉さんたちのように学生のチームで世界での活躍を目指すチームは少ない。「自分たちを見て、世界を目指す学生たちが増えてほしい」と語ってくれた。

PROFILE

小倉隆寛さん

京都府立宮津高等学校(京都府)卒業。
島田教授のゼミに所属し、統計学を学び、「新卒就職3年離職率の決定要因」についての研究に取り組んでいる。 大学から始めたウィンドサーフィンを趣味としている。

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