なぎなた全日本学生大会の決勝戦で2年連続敗れ、惜しくも準優勝に終わった浦井さん。「昨年は決勝前の試合で体力を消耗してしまい、気心が知れた先輩に敗戦。今年は、経験豊富な同い年の選手に延長戦で負けてしまいました」と悔しさを表した。

日本では剣道、東洋ではフェンシングに例えられるなぎなた。防具を身につけ、定められた部位をお互いに打突して勝負を競う。全長2m強のなぎなたの打突部で打突部位を充実した気勢と適法な姿勢をもって、打突部位を呼称しながら確実に打突し、残心のあるものが有効打突となる。3本勝負が原則で、試合時間3分以内に有効打突を2本先取したほうが勝ち、延長戦は2分。ここで決着がつかなければ審判員の判定となる。競技するのは女子のイメージが強いが、年々男子の競技人口も増えてきている。

練習や競技を通じて、心・技・体を高める

高校では運動部に入りたいと考えていたとき、オープンキャンパスで見たなぎなたの迫力に魅了された。「敏速な動きの中から打突の機会を見出し、真剣を扱うようになぎなたを操る、そこに惹かれました」。あまり体力に自信がなかった浦井さんは「特に1年の夏、防具を身につけての体育館での練習は過酷でした。でもそこで体力が自然とついたんです」と振り返る。その夏を乗り越えると、体力的にも技術的にも著しく成長し、同時に礼儀作法を身につけた。「目上のかたとの接し方、競技に対する姿勢など、全て高校時に習得しました。今も母校の部活に顔を出しに行くこともあります。高校生のアグレッシブななぎなたに触れると、新鮮な気持ちが甦ります」

凛々しく、美しい、新しいなぎなたの魅力に触れる

立命館にはなぎなたを競技する環境がなく、現在は、平安神宮の近くにある京都市武道センターで週2回の稽古に勤しんでいる。練習時間が限られているものの、そこで大人の戦い方に触れることもできた。それは、より綺麗に有効打突を決める、そこに重きを置く戦い方。力ずくで戦う高校時とは少し違う魅力があり、「学生だけでなく大人とも戦ってみたい」その気持ちが強くなったという。

初段を取得しないと参加資格が得られない全日本選手権。浦井さんは、昨年の10月に初段を取得し、今年の12月、初めて全日本選手権に出場するという。「京都府からの出場枠は3人ですが、実は予選で負けてしまって…。本来なら出場はできないのですが、大学生枠で出場させていただくことになりました」と、全日本で戦うことを楽しみにしている様子がうかがわれた。

浦井さんのなぎなたの強みは柔らかさ。力を抜いて遠心力を使い、大きな演技ができるという。高校から今まで、全国大会だけでなく関西などエリア別の大会でも優勝に縁がないが、その柔らかいなぎなたを武器に、また全日本選手権など経験を積んでさらに強くなり、必ず学生の頂点を狙いたいと力強く語ってくれた。

PROFILE

浦井健太さん

京都府立南陽高等学校高校(京都府)卒業。 福祉に興味があり産業社会学部へ。ゼミで障害者スポーツについて学び、将来はスポーツの楽しさを伝えたいと考える。現在はなぎなたと平行して、今年公認団体に昇格したスポーツチャンバラサークルで週2回汗を流す。この11月6日に千葉で行われたスポーツチャンバラ世界大会にも出場、個人3位入賞を果たす。

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