9月22日、「細街路での交通作法in姉小路」が開催され、地域住民の方などを前に京都の姉小路通で行った車両の速度調査の報告をする小原さんの姿があった。京都の都心部の細街路(姉小路通周辺)の交通現象の実態を知ってもらうため、調査を毎月複数回実施。地域のまちづくり活動の月例会議に毎月出席し、地域の方から依頼された調査内容の検討や調査報告を行っている。

小原さんが所属する岡井研究室は、昨年度から姉小路通りのまちづくりのお手伝いをしており、今年になって交通調査への協力を依頼され、研究室の他の学生と今年5月から調査に取り組むこととなった。京都在住の小原さんは、もともと京都の交通に関心があり、「自分の知識を生かし、地元のために役に立ちたい。学生という立場であれば、さまざまな情報を発信しやすいのではないか」と考え、調査に参加することにしたという。

調査結果から見えた問題をさらに次の調査へ

調査は、地域のまちづくり活動の事務局の方との複数回にもわたる打ち合わせを経て、小原さん、同じ研究室の学生の3人で行った。まず、姉小路通の交通量をはかるため、烏丸通から御幸町までの10箇所の交差点付近にカメラを設置した。撮影した映像の記録は膨大な量で、チェックに非常に時間を要したが、この調査により、姉小路通の交通量は幹線道路の信号の有無に起因していることがわかった。

次に取り組んだのは、20km/h規制の姉小路通の車両の速度調査。姉小路通をはじめ、周辺の細街路は、京都の中でも地域の生活者や来訪者が安心して買い物したり回遊したりすることのできる道路空間「歩いて楽しいまちなかゾーン」とされている。そのため、自動車はゆっくり走行するよう20km/h規制に設定されているが、危険な走行をする自動車が後を絶たないため、実証できるデータを得ようと調査を始めた。 姉小路通の一地点を通行する車の撮影とそのスピードをスピードガンで計測、撮影して記録した。その結果、通行する車両の3分の2が制限速度を越え、中でも、タクシーや納入用の車両など地域住民ではない車両の速度が超過していることも明らかにできた。現在は、姉小路通りに入ってくる車両がまちなかゾーンに目的を持って走行しているか、単に抜け道として使っているかを自転車で追跡する方法で調査を行い、抜け道利用の実態を明らかにしようとしている。

引き継がれるまちづくりへの思い

姉小路では、京都らしい文化を継承しながら、みんなが住み・働きやすい町にするために、地域の人がさまざまなイベントを行っている。まちなかを歩く日、交通安全教室、行灯会などのイベントを通して、まちづくり活動への関心を高めている。同じ研究室の学生とともに、小原さんも地域の人とともに、これらの活動に取り組んでいる。「京都は、今でも地域活動が頻繁に行われているため、これからもその地域のつながりを大切にしてほしい。そして、安心して楽しく歩けるよう、歩く人にも優しい町になってほしい」と語った。大学卒業後は、大学院へ進学し、今後もこのまちづくりに関わっていくという。以前からまちづくりの研究を行っていた先輩から彼が引き継いだように、ひとつの町を良くしたいという思いがこれからも引き継がれていくだろう。

PROFILE

小原雅人さん

立命館守山高等学校(滋賀県)卒業。
岡井准教授の都市計画研究室に所属し、「京都市の歴史的なまちなみ地域における無電柱化事業について」の研究を行っている。中学までは野球、高校ではバレーボールに打ち込み、現在は野球観戦を趣味にしている。

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