「石けんを用いた手洗い」を通してカンボジアの農村の衛生環境改善を目指し、2009年に設立した関西あおぞらプロジェクト(以下:KAP)。この秋、KAPが大阪府枚方市で主催した、遊ぶ・食べる・聴く・体験することを通じてアジアを発信する「アジアフェスティバル~アジアの魔法にかけられて~」には、国際交流団体やジャズサークルなど15団体が参加。多くの来場者が集まり盛況のうちに幕を閉じたという。

大学入学時、ボランティアに関わりたいと思い、KAPなら本気でやれると感じたという有馬さん。2016年1月に新代表となり、「私たちの取り組みをもっと多くの人に知ってほしい。今までは他団体が主催するイベントに参加することが多かったが、自分たちが主催して周りの団体を巻き込んで大きなイベントをしたい」という気持ちが芽生えたという。来場者に楽しみながらチャリティに参加してもらうこと、カンボジアについて多くの方に知ってもらうことを目的に、企画が本格的に始動したのは5月。「アジアフェスティバル」のリーダーを務めた田川さんは「留学でこの1年間団体を離れていたので、自分が団体に貢献したい、後輩に何か残したいという気持ちでリーダーをさせてもらいました」と振り返る。SNSやHPを活用した宣伝の一方で、KAPのメンバーが約8000枚のビラを会場近隣の学校やマンションなどに配布したという。



今までのイベントでつながっていた国際協力団体などに参加を依頼し、ブースで団体の活動紹介を実施。KAPは、石鹸づくりをしながら自分たちの活動紹介をしたほか、カンボジア産の雑貨の販売、写真展、フェイスシール、飲食などで来場者と楽しい時間を過ごした。当日は晴天にも恵まれ、多くの来場者と参加団体が交流する場面を見ることができ、「副代表をはじめとするメンバーのサポートのおかげで成功できました。それぞれの団体の個性が光り、理想としていたイベントにできたので嬉しかった」と有馬さんはいう。

イベントの成功が自信に繋がり、深まったメンバー同士の絆

他団体を巻き込むことはもちろん、メンバー全員をどう巻き込むかも大きな課題となっていた。「時には厳しいことも言いました。でも素直な気持ちを伝えることで後輩たちも積極的に協力してくれるようになりました」と田川さんはいう。このイベントを全員でやり遂げ、絆が深まったことも大きな収穫だったようだ。

今までは手洗いについての支援をメインに活動してきたKAPだが、最近ではゴミの分別など、より広い視点から衛生教育支援に取り組むようになってきたという。代々受け継がれたことを土台に、今、自分たちにできることを考え、変化を恐れずに前に進んでいる。「後輩たちにも時代に応じた柔軟な発想を持って支援を続けてほしい。学生に出来ることは限られていると諦めずに、衛生支援の可能性を広げ、いろんな活動をしてほしい」と12 月いっぱいでKAPを卒業する二人は、後輩にバトンをつなぎ、後輩たちの次の活動に期待を膨らませている。

PROFILE

有馬めぐみさん

兵庫県立北須磨高等学校(兵庫県)卒業。中学・高校時は陸上部(短距離)で汗を流す。教育について学びたいと考え前田信彦教授のゼミで子ども社会について学ぶ。あおぞらプロジェクトの代表就任後に、さまざまな改革を実施。コミュニケーション能力が上がり、人見知りの性格を克服した。

田川みこさん

京都学園高等学校(京都府)卒業。小学校から英語を学び、高校時イギリスに留学したのがきっかけで国際協力について興味を持つ。2015年8月~2016年5月、アメリカに留学。松田正彦教授のゼミで地域開発について学ぶ傍ら、留学サポーターとして、後輩たちの留学相談に応じている。

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