11月27日、「第31回全日本学生居合道大会」が開催され、個人戦の部で、居合道同好会の主将の福永さんが優勝を果たした。100人以上もの学生が参加した「第27回西日本学生居合道選手権大会」を経て、関西代表として臨んだ全日本大会。決勝相手は、同じ同好会の同期だった。気持ちを整え、全力でやれるだけのことをやろうと心に決めて戦った結果、個人戦優勝を手にした。後に、「3人の審判の旗のうち、2本が自分に上がった瞬間、“優勝”という実感がすぐにはわかず、何も考えられなかった」と振り返る。

武道への思いと挑戦

福永さんは、中学、高校は剣道に打ち込み、大学では新しいことを始めたいという思いと、6年間、剣道で学んだものを無駄にせず、武道を続けたいという思いから、居合道を始めた。同好会の練習だけでなく、一般の人や他大学生と共に京都府剣道連盟が主催する練習にも参加している。1回生で居合道初段を取得し、2回生で居合道2段を取得した。去年の全日本大会で初めて団体戦に出場した福永さんは、大会で居合道のおもしろさをよりいっそう感じ、個人戦にも出場したい、との強い思いをもった。それからは、全日本大会での優勝を目標に、毎日居合道に打ち込んだ。

この3年間、さまざまな大会に出場し、今の自分に何が足りないのかを考え、反省を繰り返してきた福永さん。居合道は仮想敵を相手に5本の業を抜き、点数制ではなく、審判の判定により勝敗が決まる。一瞬でも気を抜くとそれが伝わってしまい勝敗を分けることもあり、どれだけその業に気持ちが入っているか、が重要になる。試合後には刀を握る手がしばらくは動かないほど、試合中は力が入った状態で集中し、気持ちが入っているという。

文武両道を目指してきた学生生活

主将として、居合道同好会を牽引してきた福永さん。毎日の練習と学業を両立させることはとても大変だった。そのなか、学業もしっかり取り組むことで武道にも何か生きることがある、と学業も手を抜かず努力してきた。今回の優勝について「この結果は、周囲の人々のおかげ。両親や先生方、部員や友人に感謝しています」と話す。12月で主将は後輩に引き継ぎ、今後は後輩たちを支えながらも、憧れの先輩たちに追いつけるようさらに努力を続ける予定だ。またこの優勝に慢心せず、より強くなるために1から稽古をやり直したいという。

福永さんはすでに来年の全日本大会を見据えている。個人戦では優勝したものの、団体戦は3位に終わった。「選手全員が今まで以上に良い仕上がりなので、優勝できるのでは、という思いもあったため、とても悔しかった」と振り返り、「来年は団体での優勝、そして、個人戦では2連覇を目指します」と力強く目標を語った。2冠、2連覇に向かい、彼の“居合道”は、まだまだ続いていく。

PROFILE

福永靖史さん

城北高等学校(東京都)卒業。 都市システム工学科で、都市の防災について学び、今後は京都市などの防災について研究予定。ルービックキューブやパズル、ミニ盆栽などの植物を育てることが好きで、現在はまりもを育てている。

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