紙と鉛筆で始めた卓上ゲーム

清水さんが初めてゲームをつくったのは、小学生のとき。友人と遊んでいた際、遊び道具を紙と鉛筆でゲームをつくったのが始まりだった。それから自分自身でさまざまなゲームをつくり続け、中学ではプログラミングにも興味を持った。ゲームをつくりたいという思いから、情報理工学部に進学し、デジタルゲームとともに、アナログゲーム製作にも力を注いだ。

ネットショッピングで商品を選んでいるときなど、日常の何気ない楽しさをゲーム製作のヒントにしているという。頭に浮かんだゲームを楽しんでいるシーンから、そのために必要な要素であるカードやルールを考えていく。そのルールを考えることが難しく、トライ&エラーの繰り返しでとても時間を要するが、それこそがゲーム製作の魅力であると語る。

「子供心を忘れない」それが清水さんのゲームづくりのこだわりだ。ゲームの世界では高く評価される「無駄がなく、美しい」という概念を無視してでも、自分自身が子供のときに感じた「楽しい」という感情を忘れずに、「多くの人に楽しんでもらえるゲームをつくろう」と製作に取り組んできた。

約600の応募作品の中から大賞に選ばれた

2016年12月、東京ビッグサイトで開催された「ゲームマーケット2016秋」で、清水さんが「自動生産(オートメーション)」をテーマに製作した、工場経営ゲーム「ビンジョー×コウジョー」がその年の大賞に選ばれた。このゲームマーケットは“電源を使用しない”アナログゲームのイベントで、カードゲームやボードゲーム、シミュレーションゲームなどさまざまなジャンルのゲームが出展される。ゲームで遊んでもらい、販売する同時即売会のイベントで、幅広い年代の人が清水さんのゲームで遊び、多くの人が「ビンジョー×コウジョー」を購入してくれた。

ゲームマーケットに出展するにあたり、商品化した「ビンジョー×コウジョー」。通常は手作りをするゲームに必要なカードなどを印刷業者に発注し、商品として形になると、それだけで嬉しさがあった。自分がつくったゲームを楽しんでいる人々をみて、「思い描いていたとおりの表情で楽しんでくれて嬉しかった」と笑顔で振り返る。

ゲームづくりへのさらなる一歩へ

大学卒業後は、デジタルゲーム会社に就職し、ゲーム製作に携わり続ける清水さん。ゲーム製作を趣味としてだけでなく、仕事としていくことに不安もあったが、大学ではプログラミングを学び、デジタルゲームのための知識を身につけ、さらにゲームマーケット大賞を受賞したことで自信もついた。「楽しいゲームをどんどん発信していきたい。そして、世界で大ヒットさせたい」清水さんは新たな一歩を踏み出す。

PROFILE

清水 壮一朗さん

立命館高等学校(京都府)卒業。Ruck Thawonmas教授の知能エンターテイメント研究室所属。ゲーム製作の合間には、高校から始めたウクレレを弾きリフレッシュしている。

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