「やるからには全力を尽くし、やり遂げたい性格なんです」。1回生からボランティアの学生コーディネーターを務め、2回生時にはバドミントンとボランティアを融合させたサークル「LEAP」の立ち上げ、昨年からはLL(エルエル)ブックの出版に力を注ぐなど、さまざまな活動に取り組んでいる早川さん。

早川さんが一番注力してきたのが復興支援活動だ。1回生時に参加したボランティア活動で、語り部の女の子に出会ったことが大きな転機だったという。「震災について伝え続ける気持ちを応援したい、この話を多くの人々に知ってほしい」。その後は半年に1度東北に行き、現地の人から刺激をもらいつつ、学生を巻き込み東北とのつながりをつくることに心を砕いた。

※知的障害や学習障害などがある人々も楽しめるよう、内容を理解する助けとしてイラストや写真、記号を多く添えた本

たらこ1つ1つに愛をこめて

2回生の夏、復興庁が主催した復興インターンプログラムで、“愛情たらこ”の製造・販売を行っている湊水産のたらこつくりを通じて、復興までの道のりを伺った。「『やれることをやろう』という社長の言葉をきっかけに、みんなの希望になるようにと前を向き、震災2カ月後に営業を再開した」という話を聞き、湊水産や東北の強さを感じるとともに、ぜひ他の学生にもその経験を知ってほしいとの思いも抱いた。

2016年3月、就職活動の準備で大学生活を振り返った時、「湊水産や東北の強さ、素晴らしさを伝えられていない」と気づいた早川さんは、翌日には湊水産に「たらこつくろう」の企画書を送っていたという。開催するまでの3カ月間は、確認事項のやり取りなどに苦慮したり、「参加は予約制でしたが、多くの欠席者がでるのではと不安になり、当日、全員に確認メールを送付しました(笑)」と心配したことも。結果は、飛び入り参加者がいるほどの賑わいで、参加学生も湊水産の方もみんなが笑顔で過ごした企画となった。参加したことで自然と東北など被災地に思いを募らせた学生から、「開催後に初めて東北や熊本に行った」という話を聞き、自分を信じて発信してよかったと胸のつかえが取れたという。

5年目の思いを伝えたい

11月には+R奨学金を受給して「5年経った東北を知る、感じる、食べる」をテーマに『東北ウィーク』を実施した。計画するにあたり、今、学生が東北に対して何を考えているか調べると、現地に行ったことがない多くの学生が、「ボランティアに参加するには何か形を残さないといけないと思い、なかなか参加できない」と、ボランティアから遠ざかっている実態を知った。そんなリアルな気持ちを伝えたいと、東北学院大学の学生とSkype会議を実施。立命館の学生の思いとは裏腹に、「現地に来てくれるだけで力になる。現地だけでなく関西からでもできるボランティアがあるのでハードルを上げないで」というリアルな気持ちを知ることができた。

別日には東北の食材を使った料理を振る舞い、東北について語らう「あがらいん((ちょっと入ってきなさい)食堂」や、1回生時に出会い、それからずっと呼びたいと願っていた語り部の女の子も招くことができた。当初は1日開催の予定だったが4日間に変更し、より充実した内容になったと振り返る早川さん。「今後も継続的な支援を続け、多くの人に発信し続けることが自分の使命」という言葉から、社会人になっても変わらず活動していく意気込みが感じられた。

PROFILE

早川友浩さん

東邦高等学校(愛知県)卒業。尊敬する兄の後を追うように小学4年から始めたソフトテニスを高校まで続けた。4回生時には大学から成績優秀者に送られる西園寺育英奨学金と京信榊田喜三記念育英会奨学金を受給。リム・ボン教授のゼミでゼミ長としてアクティブシニアタウンについて学ぶ。その他、3.11縁結びCafeの運営やまるっとふくしまでも活動している。今春からは教育関係の会社に就職予定。

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