家族、友人の支えを力に、重量挙げの頂点を目指す
最近、めきめき頭角を現している重量挙部の安原さん。2016年12月に開催された第17回全日本大学対抗女子ウエイトリフティング選手権大会63㎏級で2位、2017年4月の第29回全日本女子学生ウエイトリフティング選手権大会69㎏級でも2位という好成績を残した。しかし安原さんはこの結果に満足せず、「ひとつは同点だったので体重差で負けて…。もうひとつは、得意のスナッチ(※1)で点数を離してクリーン&ジャーク(※2)で逃げ切る予定でしたが、相手がそれ以上に結果を出してきたので、自分の力不足です」と悔しさをにじませた。
(※1)地面に置いたバーベルを頭上へ一気に引き上げ、立ち上がる
(※2)地面に置いたバーベルを第1動作(クリーン)で肩まで引き上げて立ち上がり、第2動作(ジャーク)で全身の反動を使って一挙動で頭上へ差し上げる
自己新記録を更新し、重量挙げの面白さにのめり込む
「体育会部活の勧誘を全て断り、高校1年のときは美術部とワープロ部に入っていました」という安原さん。小学校から中学までやっていた器械体操で養われたバランス感覚を、高校の恩師に見出され、2年生から重量挙部へ入部。器械体操仕込みの柔軟性とブレない体幹は安原さんの強みとなり、着々と力をつけていった。
メンバー全員が全力を尽した大学1回時のインカレ団体戦では3位入賞、2015年全日本学生新人選手権大会で個人優勝するなど、順風満帆な競技生活を送っていたが、2016年2月、腰を痛めてしまい、満足に練習ができない日々が半年間続いた。「このケガを経験して、ストレッチの重要さを再確認しました」というように、ケガを乗り越え一回り成長したと安原さんは振り返る。
ターゲットエイジ育成強化合宿で得たもの
2020年東京オリンピックターゲットエイジに選出され、強化合宿に参加した際の考え込まれた練習メニューに感心し、「立命館でも取りいれたい」とメモを取り続けていたという。高校と違い、大学では学生が主体となって練習に取り組んでいるため、女子の最上回生である安原さんとチームメイトの清水さんがメニューを考えている。「実際に練習してみてどうだったかを後輩たちに聞き、意見を反映させています」。自分の課題とも真摯に向き合い、後輩の意見にも耳を傾ける安原さんは、部にとっても頼もしい存在だ。
家族、友人のおかげで、今の自分がある
苦労していることは高校時には経験のなかった減量。「高校生の時は身体を大きくする方針だったので、今は逆で大変です…」と弱音を吐くが、調理師・栄養士免許を持っている母と祖母が、減量時期には栄養バランスを考慮した減量メニューやお弁当でサポートしてくれている。二人には日ごろから感謝しているという。
また、安原さんにはかけがえのない同志がいる。高校のチームメイトで、安原さんに重量挙げのノウハウを教えてくれた柏木麻希さん(早稲田大学重量挙部)だ。「今は関東と関西で地域も階級も違いますが、団体戦ではライバル。やっぱり意識します」という一方で「長期休暇のとき、彼女が京都に帰ってくるとわかれば、約束などしなくても母校で一緒に練習しています」と、今も彼女から刺激を受けているという。
「これからは苦手なクリーン&ジャークを克服して、今年中にトータル200点を目指したいです」。もちろん東京五輪も見据えていると笑顔で話してくれた安原さん。彼女に宿る可能性は計り知れない。
PROFILE
安原嘉美さん
京都府立鳥羽高等学校(京都府)卒業。後藤一成教授のゼミでトレーニング効果やコンプレッション・ウェアの開発について学び、練習メニューにも取り入れている。休日は、アルバイトや仲間と遊びに行くことでリフレッシュしている。